ニュース: 事件 RSS feed
【八百長判決 要旨(1)】「記事は社会的評価を著しく低下させるもの」 (2/2ページ)
角界では、横綱が地位安定などのために下位力士から勝ち星を買うという伝統があること。しかし前理事長は、横綱になっても金銭に困っていたために勝ち星を売る八百長をしていたこと。玉垣親方、大島親方、間垣親方、高田川親方という日本相撲協会幹部らが、その後援者と一晩で1000万円単位の現金が動くばくちをよく行っていたこと。親方同士がそのような関係にあることから、親方同士で弟子の相撲の勝敗につき八百長を仕組んでいること。
以上、本件記事で原告らの名誉が棄損されたといえるか否かについて、検討する。
●前理事長について
前理事長は大横綱でありながら、実は八百長行為という力士としてあるまじき不正行為を、しかも数百万円にも上る金銭を見返りにして行っていたという印象を、また横綱になっても金銭に困り、勝ち星を売る八百長をしていたという印象を読者に与えるものといえるから、前理事長の社会的評価を著しく低下させるものであることは明らかというべきである。
●日本相撲協会について
本件記事の大見出しの記載などを読めば、前理事長が現役時代に自ら八百長を繰り返し行っていたため、前理事長を理事長(当時)とする日本相撲協会は、力士から甘くみられ、横綱朝青龍の八百長疑惑に対して毅然(きぜん)とした態度をとることができないとの印象を読者に与えるものといえる。
また、日本相撲協会の元理事長である花田勝治氏は、理事長就任前のみならず、就任後においても、自らの引退の花道を飾るべく、優勝を決める大一番において、金銭が介在する八百長を指示・手配したとの印象を読者に与えるものといえる。
さらに、相撲界には、横綱が、自己の地位の安定などのために、下位力士から勝ち星を買う伝統があり、また日本相撲協会の幹部である親方同士は、八百長を仕組んでおり、八百長は、日本相撲協会の旧態依然とした体質の表れで、大相撲をここまでダメにした犯人は、前理事長率いる日本相撲協会であるとの印象を読者に与えるものであるといえる。
そうすると、本件記事の記載内容は、日本相撲協会の社会的評価を著しく低下させることは明らかというべきである。
=判決要旨(2)に続く
このニュースの写真
関連ニュース
- 【八百長判決 要旨(4)完】“世紀の一番”に関する取材「誠に不十分」
- 【八百長判決 要旨(3)】「理事長は無気力相撲を厳しく戒めた」
- 【八百長判決 要旨(2)】“藤田発言”と“板井証言”は「裏付け証拠なし」
- 【大相撲八百長訴訟】「裏付け取材していない」…北の湖前理事長が勝訴、講談社側に1500万円賠償命令
- 八百長疑惑訴訟が結審 3月26日に判決 東京地裁
- 元若ノ鵬「八百長してない」 週刊誌に嘘の告白 東京地裁に陳述書
- 【大相撲八百長訴訟(8)完】「無気力相撲ないので調査も不要」と北の湖前理事長
- 【大相撲八百長訴訟(1)】新たな“爆弾証言”で緊迫の法廷 「問題の一番」ビデオ放映も
- 【大相撲八百長訴訟】「北の湖と八百長した」元小結が証言
- 【大相撲八百長訴訟】朝青龍「すべて真剣勝負」と否定