民主党の小沢一郎代表の公設第1秘書の逮捕で、自民、民主両党の攻防が「攻守逆転」の様相をみせている。事件が小沢氏の代表辞任にまで発展し、混乱が広がれば、平成21年度予算成立直後の4月解散が一挙に現実味を帯びてきそうだ。
[フォト]小沢氏の事務所前に報道陣殺到
小沢氏の第1秘書逮捕の一報を聞いた与党幹部は3日午後、平静を装った。思わぬ「敵失」だが、小躍りしていると思われたくないからだ。
自民党の細田博之幹事長は「事実は司直の手で今後明らかになると思うが、強制捜査なら(捜査当局に)ある程度の心証があるのだろう。まあ特に感想はございません」。菅義偉選対副委員長は「小沢氏は数年間で5000万円を受け取ったと聞いている。異常な金額だ。事実関係をきちんと捜査してほしい」と語り、事件の行方を注視する姿勢を強調してみせた。
公明党の北側一雄幹事長はさらに口調が厳しい。「重大な事態だと言わざるを得ない。小沢氏にはまず事実関係をきちんと説明していただきたい」
3日夕の国会内はこの話で持ちきりとなった。
「予算成立後」を主張する民主党に対し、与党側では麻生太郎首相の内閣支持率低迷を受け、「4月解散説」はすっかり下火。4月末に21年度第1次補正予算案を提出し、早くても5月末から6月初めの解散が有力とみられてきた。
だが、事件で前提が変わりつつある。自民党幹部は「さっき、小沢氏の事務所のそばを通ったんだよ。カメラがバーっと並んで、車が通れないほどだったよ」と興奮気味。
公明党幹部も「解散は早いんじゃないかな。あした(定額給付金の財源特例法案を)衆院で再議決して解散…」と語ったところで、「いや、21年度予算があるな。まだだ」とわれに返った。
自民党中堅は「潮目が変わった。小沢氏が辞任する瞬間を狙って解散を打つべきだ」とまで力説した。
もちろん、影響は読み切れない部分が多い。
自民党幹部からも「こっちにも(捜査対象者が)いたら大変だ。相殺されるかもしれない」と不安の声が漏れる。伊吹文明元幹事長は「相対的に有利になったなどと考えてはいけない。麻生首相は敵失に乗じて解散するような人ではない。また自民党は絶対にそういうことをしてはいけない」と浮かれ気味の与党に冷静な対応を求めた。
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