【G大阪】ACL開幕、甦るG伝説
【全州(韓国)7日=西尾雅治】アジア制覇に挑むG大阪が13年前の伝説をよみがえらせる。06年アジアチャンピオンズリーグ(ACL)が8日、開幕する。昨季J1王者として初出場するG大阪は、アウエーで全北現代戦(韓国)に臨む。7日は大阪から約6時間かけて現地到着後、全州W杯スタジアムで公式練習した。G大阪はJリーグ開幕前年の92年11月、タイでのクイーンズ杯で完全アウエーの中で劇的優勝。それ以来となるアジア進出で新たな伝説をつくる。
うっすらと霧に包まれた全州W杯スタジアム。カクテル光線に照らされたG大阪ブルーが鮮やかに映えた。「この地がG大阪にとって記念すべき国際試合の第1試合の地になる」。18人の選手たちを見守る西野監督の言葉にも力がこもった。新たな歴史が、ここからスタートする。
ACLの過去3大会でJリーグ勢はことごとく1次リーグで敗れ去った。そんな過去もG大阪が清算する。「Jリーグ以上のステージだと考えてこの大会を強く意識してきた。1次リーグを突破することが、Jのチャンピオンチームの使命だと思っている」。西野監督は全北現代・崔康熙(チェ・ガンヒ)監督と並んだ公式会見で、決勝トーナメント進出を自らのノルマと課した。ユース、五輪代表監督時代にアジアの激戦は経験済み。その辛苦はヤル気の源でしかない。
クラブの歴史をひも解けば、実はアジアレベルの国際大会に参加するのは今回が初めてではない。G大阪ファンでもあまり知られていない伝説、それが92年のタイ・クイーンズ杯の劇的優勝だ。Jリーグ開幕を翌年に控え、タイの英雄と言われたビタヤ・コーチを通じてG大阪が伝統ある大会に招待出場した。
国内の6クラブと中国の1チームとあわせて8チームが参加。G大阪はエースFW永島昭浩(現日刊スポーツ評論家)元ブラジル代表MFエジバウドの活躍で勝ち進み、タイ空軍との決勝では、激闘のすえ4−2で逆転勝利。小石やゴミをぶつけられる完全アウエーで偉業を成し遂げた輝かしい過去がある。
1次リーグ6試合をホーム・アンド・アウエーで戦うACLは規模も期間も違うが、アジアの過酷な環境で優勝カップを手にした栄光は色あせない。「日本を代表してきているという部分もある。しっかり戦いたい」とMF家長は表情を引き締めた。
6日は大阪から飛行機とバスで約6時間かけて全州に移動。「こんなに遠い場所とは予想はしていたが、それ以上だった。選手もストレスがたまって移動でかなり疲れている」と西野監督は苦笑いした。本番会場での練習は軽く体をほぐす程度の約1時間で終了。「この大会の重要性をいかに意識して臨むかが大事だ」とFWマグノ・アウベスは意気込んだ。全北現代との初戦から、06年版G大阪の夢が花開く。
[2006/3/8/09:34 紙面から]
写真=長時間の移動後、軽めの練習で体を動かすG大阪イレブン(撮影・加藤仁)
|