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【社説】

小沢氏の反論 問われる党の危機対応

2009年3月5日

 小沢一郎氏が秘書逮捕に「いわれなき嫌疑」と反論した。黒白は検察捜査の進展を待ちたいが、そのつど説明に追われる代表を担いで民主党は耐えられるだろうか。危機に対応する器量が問われる。

 小沢代表は記者会見で、西松建設違法献金事件をめぐって逮捕された腹心の公設秘書について、いずれ嫌疑は晴れ、自身と党への国民の疑念もぬぐわれるとして、代表職にとどまる考えを述べた。

 その際小沢氏は総選挙を間近にする局面での強制捜査を「政治的にも法律的にも不公正な国家権力の行使だ」と批判し、西松側への自身や秘書の便宜供与が明らかになれば検察に身を委ねる、とも語った。政界を揺るがす大スキャンダルは、小沢氏と検察当局との全面対決の様相も呈している。

 準大手の西松建設はかつてゼネコン汚職で摘発されるなど、公共事業受注での政官界とのパイプが取りざたされる。政界実力者への献金で社名を表に出したくなかったとしても不思議でない。

 その点で小沢氏の反論は、献金が政治団体からであってその出所は関知しない、企業献金であれば自身の資金管理団体でなく法に触れない政党支部などの政治団体で受けた、としている。だが、逮捕された秘書が政治団体の実体は西松建設であると認識しなかったというのはいかにも不自然だ。

 西松と小沢氏側との深い関係が指摘される。検察の具体材料が判明するたびに小沢氏は一層詳細な説明責任を果たさねばなるまい。

 不透明感を晴らしておくべき問題は、政治的バランスを保つ上で検察側が捜査の必要を否定していない他の実力者にもある。二階俊博経済産業相のグループや森喜朗元首相ら西松側からの献金が明らかな政治家は、進んで潔白を証明するのが望ましい。小沢氏の「不公正な権力行使」批判を否定するには、それが一番の近道だ。

 小沢氏側の徹底抗戦で捜査は長引くかもしれない。民主党は国民に広がる失望感を重く受け止めるべきである。代表の進退をいつまでも小沢氏の一存に委ねるようでは、危機をコントロールする党の能力そのものが疑われよう。小沢氏はじめ名の取りざたされる政治家らを呼び、国会の場で政治とカネ論議を急ぐよう促す。

 麻生政権から民意が離れ、取って代わる立場の野党までが疑念を引きずるようでは国民は救われない。与野党は陣を整え直し、急ぎ総選挙で審判を仰ぐべきである。

 

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