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【主張】定額給付金 年度末の経済対策を急げ
総額2兆円の定額給付金の財源などを確保する今年度第2次補正予算関連法が衆院で再議決され、成立した。国民1人あたり1万2000円が順次、各自治体から支給されることになった。
あわせて、公的資金で、銀行などが保有する株式を買い取る法律も成立した。平成18年まで存続した「銀行等保有株式取得機構」を再開させるものだ。
米国の金融不安の深刻化に伴い、世界的な株安傾向が止まらない。4日の東京市場も一時、27年ぶりの安値を記録した。企業業績が確定する年度末を控え、政府による経済対策が急務である。消費を刺激する給付金の迅速な支給が求められる。さらに、株価を下支えする銀行保有株の買い取りも急いでもらいたい。
関連法は、財政投融資特別会計から一般会計への財源繰り入れを認める内容だ。定額給付金や高速道路料金引き下げなど、先に成立した補正予算の景気対策の実行を可能にする。
一方、銀行保有株の買い取りは、景気刺激策を補完する役目を担う。現状のまま株価低迷が続けば、逆資産効果で消費を冷やすだけでなく、金融機関が保有する株式の評価損を膨らませる。買い取りは、銀行の貸し渋りが一段と強まるのを回避するための即効性が期待できる。
世界同時株安は、米国の大手金融機関の経営危機に収束の兆しがみえないことが大きな要因だ。米政府は矢継ぎ早に追加支援を決めたが、こうした資本の増強が、実体経済の悪化による金融機関の資本棄損に追いついていない。
米政府は先月から、大手金融機関を対象に資産査定を始めた。市場の信頼を得るには、金融機関の抱える損失を確定させ、本体から一定規模の不良資産を切り離す対策が必要だ。その上で追加の公的資本を注入すべきだろう。米政府にはそうした一連の作業を急いでもらいたい。
日本も米国の対応待ちではなるまい。今後は、来年度予算関連法案を早期に成立させ、追加の補正予算を含む新たな経済対策も考慮すべきだ。政府・与党は、取得機構が購入する資産対象を広げることも検討している。
期末までには時間が限られており、的確な対策を実施することが急務だ。市場と金融機関を含む企業の不安を鎮めるために、政府はあらゆる手段を尽くすべきだ。