経済
<戦略を語る> 山陽百貨店社長・高野勝氏
オーバーストアに人口減少が重なり、激しいパイの奪い合いを強いられている百貨店業界。加えて、このところの物価上昇に伴う消費者の購買意欲の冷え込みで、生き残りをかけた戦いは熱を帯びる一方だ。そんな中、五月下旬にトップのバトンを渡された山陽百貨店(姫路市)の高野勝氏(59)は「地域特性こそが生き残りのカギ」とみる。「姫路の中心市街地を一つの大型ショッピングセンター(SC)ととらえる店づくりを進めたい。そのためには、ほかの商業者との連携が不可欠」と大胆な構想を描く。(記事・西井由比子 写真・高見雄樹)
-岡山の百貨店出身。経験をどう生かす。
「姫路に来てまだ間もないが、高い潜在能力を感じている。強みを見つけ、そこに重点的に力を入れる。当店なら食品。ターミナル性が強いため、日常的に必要な食品などは伸びているからだ」
-だが、二〇〇八年二月期に続き、〇九年二月期も減収を見込む。
「人口減社会である以上、仕方のない流れだ。好転につながるプラス要因もない。神戸や大阪へと出て行く人を止めるのではなく、来る人をつかまえられる店づくりを進めたい」
「都市の規模が小さいので、大阪や神戸のようなトップブランドを集められない。こちらは、姫路にしかないもので勝負したい。姫路には農業も漁業もある。菓子もある。だが、一つの百貨店だけでは無理だろう。ほかの商業施設と一緒になって、姫路の中心市街地を大型SCのように面で楽しめる場所にしたい」
-具体的には。
「核は当店とヤマトヤシキという二つの百貨店だ。周りには、商店街や世界遺産の姫路城もある。それぞれが強みを発揮し、SCの『専門店』のように見てもらえるようになれば。交通の便もいいので、郊外のショッピングセンターに行くよりいいな、となる。そういう仕掛けづくりが大切だ」
「経営的には、売り上げを伸ばせない以上、合理化も必要だと考えている。例えば、ヤマトヤシキと物流を共同化-というのもあっていい」
-JR姫路駅高架下に十二月、衣料や食品を置く商業施設ができる予定だ。人の流れがそこでストップしてしまわないか。
「これもエリアとしての強みとなる。こちらは、当店にしかないものでアピールする。これからは本物の個性をつくる時代だ。イオンが(農薬や化学肥料を抑えた特別栽培の)コメの生産に乗り出すのも同じ理由だ。クオリティーが高く、ここにしかない、というものが必要だ」
たかの・まさる 広島県出身。中央大学法学部卒、1972年天満屋入社。経営企画畑を歩み、99年取締役、2001年常務。07年8月に退社し、9月山陽電鉄特別顧問、08年5月現職。趣味は読書と早朝野球。
メモ 山陽電気鉄道(神戸市長田区)グループ。1952年9月開業。山電姫路駅、神姫バス姫路駅前バスターミナルがつなぐ典型的なターミナルデパート。売り場面積は2万8000平方メートル。単体の売上高は2008年2月期が236億6700万円。
(6/2 09:46)
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