流通先は今も風評被害
流通先は今も風評被害 02/11 19:31

汚染米の不正転売事件で、三笠フーズは、転売によって数千万円の利ざやを稼いでいた疑いが強まっています。

一方で、汚染米とは知らずに購入していた酒造メーカーなどは、商品の自主回収に追われ、今も風評被害に悩まされています。

汚染米の不正転売が明らかになったあと、それを正当化するかのように語った三笠フーズの元顧問・宮崎一雄容疑者。

しかし、転売された汚染米には、基準を上回る農薬や、発がん物質が含まれていました。

複雑な取引を経て流通した汚染米、農林水産省の調査で、汚染米を購入していたのは、酒造メーカーや菓子メーカーなど全国で393社に上りました。

商品の自主回収などの対応に追われた各社、影響はそれだけにとどまりませんでした。

「汚染米と知っていて仕入れたのではないか」と言われなき中傷を受けるなど、商品の安全性に問題ないことが分かった後も、風評被害が重くのしかかったのです。

鹿児島の酒造メーカー・西酒造は、三笠フーズなどを相手取って損害賠償を求める訴えを起こしましたが、三笠フーズは既に破産手続きを進めていて、賠償金を得るのは難しいのが実情です。

ところで、今回の事件では、2004年度以降、あわせて96回も立ち入り調査をしながら不正を見逃していた、農水省のチェック体制も問題になりました。

事件を受け、汚染米が国内で流通しないよう規定を変更しました。

また、日程を事前に通知をするなど、これまで機能していなかった立ち入り検査の方法についても見直されています。

今回の事件をきっかけに体制の見直しは進みましたが、これがしっかり機能して、食の安全に対する不信感を払拭できるかは、消費者の視点に立った取り組みが徹底されるかにかかっています。