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県警保護の青年死亡:「頼りの警察官が」 会見で父親やりきれない表情 /佐賀

 07年に佐賀市で知的障害のある安永健太さん(当時25歳)が警察官に取り押さえられた後に急死した事件は、地域で暮らす障害者やその親にとっても深刻な出来事だった。3日、会見に臨んだ父孝行さん(47)は「障害のある子の親が最後に頼るのは警察なんです」と訴え、やりきれない表情を浮かべた。【関谷俊介、高芝菜穂子】

 孝行さんは会見で「(事件後に)障害者は安心して散歩もできないという話も聞いた」と打ち明けた。そのうえで、「障害者が一番頼りにするはずの警察官が、こういうことをした」と悔やしがった。

 06年に施行した障害者自立支援法は、施設から地域へと障害者の居住環境の移行を促している。

 だが、事件をきっかけに、地域で暮らすことに不安を覚える障害者やその家族も少なくない。

 遺族を支援してきた県授産施設協議会元会長の村上三代さん(66)は「警察の障害者への理解がないため事件は起きた。セーフティーネットをすぐに構築しなければいけない」と指摘する。

 事件後、障害者への偏見をなくすための集会が催され、安永さんの弟らが中心となって「障害者を理解してもらおう」とコンサートも開かれた。

 一方で、県警も障害者理解を進めようと、施設での研修など取り組みを強化した。

 村上さんは「死ななくてよかった健太さんが死んだ理由が闇に葬られてはならない」と、審判での真相解明を改めて願った。

 ◇「1人だけは疑問」--土本武司・白鴎大学法科大学院長(刑事法)の話

 警察は通常現場で職務を分担するのに、最初に駆け付けた2人のうち1人だけに付審判を認めたのは疑問だ。審判ではまず取り押さえが適法な「保護」か違法な「暴行」かが争点になるが、もし違法となった場合、5人の共謀共同正犯が成立するのかを明確にする必要がある。

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 ◆安永健太さん取り押さえ急死問題の経過◆

07年 9月25日 安永健太さんが5人の警察官に取り押さえられた直後に急死

   10月19日 佐賀県授産施設協議会が真相解明を求める質問書を佐賀県警に提出

   11月 6日 「警察官が殴るのを見た」という女子高生の証言を警察官が調書に記載していなかったことが判明。「意図的に隠すつもりはなかった」と県警。

   12月 4日 県警の山崎篤男本部長が県議会で「暴行の事実はない」と答弁

   12月 5日 九州授産施設協議会が舛添要一・厚生労働相に真相究明などを要望

   12月25日 父孝行さんが警察官の行為は人権侵害だとして、県弁護士会に人権救済を申し立て

08年 1月17日 孝行さんが取り押さえた警察官数人を特別公務員職権乱用等致死容疑で、佐賀地検に刑事告訴

    3月15日 問題の真相解明などを求める「安永健太さんの死亡事件を考える会」発足

    3月28日 佐賀地検は取り押さえた5人の警察官を特別公務員暴行陵虐致死罪について不起訴処分(嫌疑なし)

    4月 3日 取り押さえた5人の警察官の不起訴処分を不服として孝行さんが佐賀地裁に付審判請求

   11月14日 遺族の支援者らが佐賀地裁に提出した付審判決定を求める署名が計約11万人分に

09年 2月26日 遺族が県を相手に約4240万円の損害賠償を求める訴えを佐賀地裁に起こす

毎日新聞 2009年3月4日 地方版

 
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