ここから本文エリア おかげベンチ20カ所に 伊勢の主婦が企画2009年03月04日
◆間伐材を利用、背もたれに広告◆ 県内産の間伐材を使い、企業広告を背もたれに付けた木製の「おかげベンチ」を、伊勢市内の観光地やバス停などで目にするようになった。企画、管理しているのは、昨年まで専業主婦だった市内の辻村みすづさん(43)が起業した株式会社「貫じん堂」。まちの景観整備や森林保護にもひと役買っていて、利用者や企業からの評判も上々。来年度中に100カ所で設置をめざす。 辻村さんは、地元高校を卒業後、専門学校の事務の仕事をした後、21歳で結婚。2人の息子を育てた。 「そろそろ何かやりたいな」と思っていた07年11月、たまたま出かけた同市の地場産業展のネオン製造販売会社のブースで、営業の仕事を紹介された。「伊勢にもいい商品をつくる会社がたくさんある。それをPRし、消費者に届ける手助けができないか」と発奮した。 昨年、商品の企画や宣伝などを代行する「貫じん堂」を一人で設立。「パソコン操作も満足にできない現状」(辻村さん)だったが、同5月に、市が起業家らを支援する市産業支援センターに入居。助言を受けながら、製造業者に代わり、かがり火タイプのネオンの販売や天然塩の宣伝を手がけてきた。 一方、前から気になっていたことがあった。伊勢神宮の式年遷宮を13年に控えるなか、バス停などにふぞろいで破損や汚れが目立つベンチがあることだった。 度会町のいせしま森林組合が、原価に近い価格で、ヒノキなどの間伐材を使ったベンチの受注生産をしていることを知り、「これだ」と直感。「おかげベンチ」(幅180センチ、高さ70センチ、重さ70キロ)と名付けて売り出し始めた。 ベンチには、年間4万円(3年契約)で企業広告を募り、その収入を新しいベンチの購入や管理費に充てるのが特徴。今のところ、近鉄宇治山田駅前や二見興玉神社、おはらい町など20カ所に設置。環境に配慮する企業にとっても地域貢献につながるメリットもあり、数社から申し込みがあった。 保守点検や清掃は、障害者の人材バンク「ゴールド人材センターみえ」に委託し、障害者の雇用確保の一助になった。また、こうしたビジネスが「地域課題を解決するビジネス」と認められ、県産業支援センターの「みえ地域コミュニティ応援ファンド助成金交付事業」に認定、約175万円の助成金を受けた。 辻村さんは「おかげベンチを県内外に広め、将来はこのノウハウを販売できるようにしたい。家庭と仕事の両立をめざして頑張っていきたい」と話している。現在、新たな設置場所と協賛企業を求めている。問い合わせは貫じん堂(0596・26・2088)へ。
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