(最初にちょっと脱線)
↑いきなりお目汚しです。こちらで購入した秋冬物をアップしておきます。
まずは①HERNO(ヘルノ)のトレンチコート。着丈はかなり短めで、
細身シルエットなので、少々モードっぽいですね。まあ、あんまり直球
ど真ん中のトレンチだとそれこそ張り込み中の刑事になってしまいます
から、ちょうどいいかな、などと。裏地付きなので、かなり寒い時期まで
羽織れるし、ニットとジャケットをインすれば、真冬でも充分使えます。
トレンチは本来『塹壕』を意味するミリタリーコート。英陸軍のそれが
そもそもの発祥だとか(元の用途はレインコート)。そういえば、私は
アウターといえばやたら軍モノが好きで。米軍のMA-1(アルファ社製。
今はもう処分)、M-65(アスペジ)など、それこそ毎日のように着倒して
いたもんです。
私は本来、ジャケットでもコートでも基本的にシングルブレステッドしか
着ないのですが、さすがにトレンチはダブル以外にはありえない!
たまに雑誌で『シングルトレンチ』などと呼ばれるコートがありますが、
「それをトレンチと呼ぶな!」というのが、服に関してはゆる~い基準
しかないはずの私の、譲れない基準。
その他、肩のエポーレット(肩章:双眼鏡などをぶら下げる)、
右胸の当て布(銃を構えた際の擦り切れ防止)など、細部にわたって
ミリタリー色は濃いです。但し、チンフラップはなくて、
金具で引っ掛けるようになってます。
今回、英陸軍発のトレンチが手に入ったので、次は海軍のピーコート
が欲しいな、などと。
ボトムは②INCOTEX(インコテックス)のオフホワイトのパンツ。
股上浅め、膝下ストレートのいわゆる『J035』モデルではあるのですが、
これの最大の特徴はなんといってもストレッチウール素材であること。
おかげで非常に履き心地がよい。あと、表面を少し毛羽だたせた
フランネル調であることも特徴です。フランネルといっても、パンツ
ですから、ウーステッド(梳毛)フランネルなのですけど。
毛羽もごく控えめで、上品な感じですね(super100だし)。
私はことジャケットに関してはやはりビスポークの方に心惹かれますが、
パンツについてはインコテックスの良さというのは、ある意味ビスポすら
上回るのではないかとさえ思います。というのは、パンツについては
ジャケット以上に『時代性』が大事なのではないかと実感しているから。
・・まあ、本当のクラシック好きには「わかってないな、こいつ」
と思われるとは思いますが・・。
以上、上から帽子はLa Coppola Stortaの黒ハンチング、
HERNOのネイビートレンチコート、INCOTEXのオフホワイトパンツ、
GEOREGE CLEVERLEYの既製(おそらくCROCKET &JONES製)
スエードチャッカブーツ。そのうち、コートとパンツをCINQUEさんにて
購入。
・・ま、脱線はここまでにして、フジワラさんのお話の続きを。
***
ーさて、お店で扱う個々のファクトリーブランドの、そのうちのいくつかに
ついてフジワラさんからのナマの声をお伺いしたいのですが、
まず、インコテックスからいきましょうか。
「一言で言って、安すぎますね」。
ー1本3万はするパンツが、ですか?
「ええ、そのクオリティから考えて、
今の倍とは言わないけれど、
5万円近くしても、おそらく今とあんまり
変わらないくらいの売り上げが
見込めるんじゃないかな。
今はね、インコテックスって日本市場に
あってパンツの分野では殆ど一人勝ち
状態なんですよ。
ところが、そのインコテックスが以前の
価格をあんまり変えてないものだから、
イタリアの他のパンツメーカーの商品を
本当はもっと値を上げたいのに上げられないとそれぞれの代理店が
文句言っている(笑)」。
ーなるほど、イタリア物のパンツメーカーの、消費者にとっては有難い
プライスリーダーになっている、と。
「そうですね。その代わり他のパンツを扱うインポーターにとっては
全く有難くないんでしょうけど(笑)」。
ー次はイザイア。
「正直扱えるとは思ってなかったです。
重衣料でクラシコイタリア(協会)のモノ
を置いてないのはマズいかな、とは
考えてはいたんですけど。
で、たまたまインコテックスとイザイアの
代理店が一緒だったんですよね。
ウチはご存知のようにインコテックスに
ついては超優良ショップですから(笑)。
まあ、その辺りもあって取り扱うことが
できるようになりまして」。
ーただ、同じプライスゾーンで言えば、
ベルベストもありますよね。
「ええ、そうなんだけど、ウチのお店の方向性としては『どクラシック』
というよりは、『モダンクラシック』を目指していますので、そうなると、
ベルベストって素晴らしいんだけど、少々年齢層高めかな・・という気が
しないでもないんですよね。さすがに両方いっぺんに扱うのはムリなんで、
ウチのお店のキャラからいうと、やっぱりイザイアかな、と」。
ーこうして見てみても、モダンでかっこいいですもんね。エンリコ・イザイア
(創業者)を写真で見ても、単なるジジイにしか見えないんですけど(笑)。
「今は代替わりしたはずですよ」。
ールイジ・ボレッリとバルバなんですけど、
差別化ということを含めてお願いします。
「ボレッリは個人的に好きということが
大きいんですよ。先日、久しぶりに自分
の分を買って着てみたら、やっぱり
立体感は群を抜いてますね。
バルバは以前から扱っていて、当然
ウチにとって大切なアイテムなんですけど。
ーで、両者の違い、といえばボレッリは本来
ゆったり目、バルバはよりタイト、という
ことになりますかね。実はボレッリは
最近までゆったりしすぎてて、いいシャツ
なんだけどウチで扱うにはどうかな・・
という感じがあったんですけど、今入荷
しているモデルなんかは、肩も狭くなって、
随分モダンになりましたね。
しかも、それで腕がきちんと動くのが
いいですね」。
ーということは、以前からタイトだったバルバ
と、ボレッリの差がなくなりつつある、と?
「いえ、バルバの方がよりシェイプが効いている
んですよ。ボレッリがタイトになったといっても
それはあくまで肩の話であって、バストや背中
からウエストにかけての絞込みは今もバルバ
のほうが強いです。これはどっちがいいかという
問題ではないので、ご自分のお好みや体型に
よって選んでいただきたいな、と」。
ー関係ないけど、ボレッリってシャツ屋から手を拡げて、今じゃネクタイさらには
重衣料まで作り始めているじゃないですか。偏見かも知れないけど、
なんでも屋にはなって欲しくないな、などと。
「ええ。でも、ボレッリのジャケットやスーツって、キートンにいた職人が
移籍して手がけているらしいですから、モノはいいらしいですよ」。
ーエドワード・グリーンとオーベルシー。
これは価格帯もモロにバッティングすると
思うんですけど・・。
「これは現状ではラウンドとスクエアのラスト
の違いと受け取っていただければ。
オーベルシーは本当に美しい靴で、私も
大好きなんですけど、それはあくまでウチで
扱うセミスクエアに限った話なんですよ。
あくまで私的には、ですが(笑)。
で、ラウンドトゥでいいのがないかと思って
いたところへ、グリーンの82ラストが発売
されて。ああ、これはいいな、と。
グリーンはもともと僕がこういうクラシックな
服が好きになるきっかけとなった靴なんで、
扱うチャンスがあれば是が非でも取り扱い
したかったんです。ただ、定番の202ラスト
だと、ウチのお店のテイストとしてどうかな、
と考えていたんで、この82ラストを見たときに、これや!と」。
ー『現状では』ということは、将来的にはグリーンでもスクエアを扱う可能性も?
「そりゃ、もう・・。まだどれぐらい売れるか試行錯誤の段階ですけど、
上手くいくものなら、いろいろ仕入れたいですよ。こうしてEGを扱えることが
本当に嬉しい!」。
ー最後にお伺いしますけど、こうして大きな夢がこのお店に結実した。
その上で、さらなる夢ってありますか?
「ありますよ・・。どこまで言っていいのかわからないけど・・。
そうですね、次は何とか靴屋をやりたいですね。やっぱり僕が
こういうクラシックな服飾の世界にハマるきっかけ、大量生産、大量販売の
服ではなくて、ひとつひとつのアイテムにじっくり向きあう服飾の世界に
足を踏み入れるきっかけとなったのはなんといっても靴、特にEGですから。
・・ただ、今も靴は扱ってますけど、正直どういうふうにすれば利益が出るのか
がわからない・・」。
ー???一足10万を超えるような靴でも、ですか???
「はい。高いのはマージンのせいというより、関税なんですよ。革製品に
かかる関税ってめちゃくちゃ高い。これは微妙な話なんですけど・・
日本における皮革産業って、かつての身分制度で底辺に置かれていた
人たちが関わっていらっしゃることが多いらしくて・・」。
ーそういう人たちを保護するために関税が高い、と。
「そんな話を聞きました」。
ーうーん。確かに微妙な・・。これ、書いてもいいですか?
「いいですよ。別にそのことを批判しようと思っているわけじゃない、
きっと必要なことなんだろうと思ってるし。
ただ、関税が高いのは事実だし、利益の出し方がわからないのも
事実だし、それでも靴屋をやってみたいというのもまた事実なんです」。
***
改めてフジワラさん タカムラさん(写真写しといて、使う場面がなかった!
すみません・・)、本当にありがとうございました!
=CINQUE CLASSICOⅡ(RINNOVAMENTO!)=おわり
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