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【解答乱麻】開善塾教育相談研究所相談部長・藤崎育子 家庭訪問を怖がる先生 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:学校教育
私は学校を1年も2年も休んだ不登校の子供や、ひきこもる若者の家庭訪問をし、学校や社会への復帰を目指すための相談員という仕事をしている。そのため各地の学校の先生や保護者と話す機会が多い。
最近、家庭訪問を怖がる先生がいるという話を何度も耳にした。
「休んでいる子供のところに会いに行っていいのか」「悪影響があったらどうしよう」「親に何と言ったらいいのか」など悩み、家庭訪問するのが怖いと打ち明ける先生がいるのだという。そして一度も子供の家を訪ねずに時間が経ち、ますます家庭訪問がしにくくなってしまう。
一方、子供にとっても休み始めに先生が来てくれると、会いやすい。ところが何週間も休んだところで先生が来ても、学校を休んだ罪悪感が強くなっているため、なかなか会うことができない場合がある。家庭訪問を怖がる先生と、先生に会うことを怖がる子供の関係をどこかで変えない限り学校復帰は難しい。
家庭訪問を躊躇する担任に対し、親はわが子のことはどうでもよいと考えているのではないかと、不満をもち、やがて学校への不信感となる。事態が悪化したところで管理職や他の教師が助け舟を出そうとしても、親との関係は改善されない。まわりから指示されたことしかできない先生は自信をなくし次にどうすればいいかわからない。
ある校長が、家庭訪問を尻込みする先生に「今、その子に何をしてあげたいと思いますか」と聞いたところ、「どうしたいのかがわかりません」という答えが返ってきたという。
子供に愛情を持ち、日々奮闘しているたくさんの先生の姿を見てきた。が、一方でまわりに相談せず孤立する先生の姿も見てきた。