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孤独・金・健康 「円天」高齢者の不安突く詐欺商法(1/2ページ)

2009年3月2日16時59分

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 疑似通貨「円天」を宣伝材料にした「エル・アンド・ジー(L&G)」による詐欺事件は、3万7千人とされる会員の多くが高齢女性だった。捜査が進むにつれ、会長の波和二容疑者(75)らによるだましの手口が明らかになってきた。専門家は「高齢者を狙う悪質商法は『孤独』『お金』『健康』の三つを突いてくる」と警鐘を鳴らす。

 ●出会い求め被害

 「仕事や家庭じゃ得られない刺激があった」。横浜市の70代の主婦は出資した約400万円が戻らないままだが、当時を懐かしむ気持ちがあるという。円天が使えるバザーや大物歌手によるコンサートにも頻繁に参加していた。

 会場に行くと、自分を紹介したグランドアーク(GA)と呼ばれる上級会員に誘われた傘下会員との出会いがあった。同社の強制捜査後も親しくしている人も多い。「年をとると人間関係は限られてしまいがち。多くの高齢者が集まったのは、楽しかったからではないか」と話す。

 L&Gはこの孤独感を利用した。イベント前には、上級会員に、傘下会員を誘うメールやファクスを送るよう指示。会場では、会員らが触れ合える企画を多数用意した。

 上級会員は、傘下会員の出資金の4%を紹介料として得たほか、一部は関連団体の役員になって多額の報酬を受けていた。上級会員が紹介料を得て地位も上がるピラミッド型組織はマルチ商法の特徴だ。しかし、組織拡大には限界があり、後から入った会員ほど元金回収ができない可能性が高まる。

 ●適法装った金集め

 「L&Gの金集めが違法なんて当時は思わなかった」。都内の60代後半の自営業女性は振り返る。

 不特定多数から金を集める行為は出資法違反にあたる。しかし、同社は会員を「株主社員」、配当を「給料」と呼ぶ独自用語を使用し「特定多数の人々に株主社員の株を与える社内貯金だから出資法違反ではない」と会員に説明していた。

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