日経平均が続落:識者はこうみる

2009年 03月 4日 12:37 JST
 
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 [東京 4日 ロイター] 東京株式市場で日経平均は続落。対ドルで98円台と円安に振れているが、2月北米自動車販売が大きく減少するなど景気悪化のスピードが速いことが懸念されており、自動車株などが売られた。市場関係者のコメントは以下の通り。

●民主・小沢氏秘書の逮捕、代表交代なら売り

 <日興コーディアル証券 シニアストラテジスト 河田剛氏>

 民主党の小沢一郎代表の公設第1秘書が逮捕されたことは、株価に対する直接的な影響はみられない。とりあえず政策を推進するうえで混乱は起こらないだろう。(現時点で、代表自身は辞任しない意向だが)小沢代表が今後辞任する事態に発展すれば株式市場に影響があるだろう。民主党はこれまで消費税を引き上げずに行財政改革を進めると主張してきたが、代表が交代すれば消費税アップになり、(麻生政権の支持率低下から政権交代観測が強まっているなか)自民党との争点がみえにくくなる。民主党はもともと市場にフレンドリーではないが、代表交代ということになれば、政局が不透明になるため、株価はとりあえず下落するとみている。

●株価対策のトーンダウンを嫌気

 <ちばぎんアセットマネジメント専務 安藤富士男氏>

 麻生首相が参院財政金融委員会で株価対策について「安易にやるべきではない」とコメントするなど政府・与党の姿勢がトーンダウンしていることが市場に失望感を与えている。日経平均のバブル後安値が視野に入っているにもかかわらず、政策が具体化してこないということでは買いは入りにくい。海外勢の処分売りは継続しており、自然体のままでは日経平均が6000円台前半まで下げる懸念がある。

 上場企業の有価証券評価損計上は12月末までで約7兆円に達した。株安を放置すれば3月末までに10兆円を超える可能性もある。法人税収は減り、貸し渋りが一段の景気悪化につながりかねない。早急な株価対策が必要であり、証券保有組合のような組織の設置も検討が望まれる。

●公的資金による市場からの株買取りは期待薄

 <SMBCフレンド証券 シニアストラテジスト 松野 利彦氏>

 米国株に比べ日本株が比較的底堅いのは、公的年金などによる買いが下値で粛々と入っているためだろう。無理して下支えているとも言え、景気回復が遅れれば反動が出る恐れもある。参院本会議はきょう午前、銀行等保有株式取得機構の買い取りを再開させる法案を可決したが、銀行などが含み損状態の株式を売却するかは疑問だ。さらに市場から直接、株買い取りを行うには法案改正が必要だが3月末まで時間が乏しく期待薄だ。当面はニュースをみながら上下に振れる展開となりそうだ。

 為替が円安ながら自動車など輸出株がさえないのはやはり需要減少への懸念が強いからだろう。2月の米国内自動車販売台数は前年比約40%減少し、ほぼ30年ぶりの水準に落ち込んだ。一部完成車メーカーが今春にも生産調整のスピードを緩めると伝えられ、自動車株を買い戻す動きもあったため、あらためて売り直されているようだ。

●外国人売りはまだ続く、新安値更新を覚悟

 <草野グローバルフロンティア代表 草野豊己氏>

 昨年秋以降、世界的な地合いの悪さがミクロ経済まで及んでいる。ファンダメンタルズを考えれば、新安値更新は当然だろう。今年に入ってから、日本だけでなく世界的に株価が下落している。日本の場合、金融危機の影響は軽微とされていたが、実体経済まで悪化していたことが明らかになり、外国人投資家の日本に対する見方が厳しくなった。海外勢の日本売りはまだ続くだろう。ただ、日本だけで対処できる問題ではないため、新安値は覚悟するべきだ。当面のターゲットは、昨年10月末に付けた日経平均先物の最安値(6860円)ではないか。

 
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