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振り込め詐欺 昨年被害5億円 県警・自治体「定額給付金」便乗を警戒 群馬
昨年1年間の群馬県内での振り込め詐欺被害で、保険料や医療費の過払い分を返金するなどとうそを言い、ATM(現金自動預払機)から現金を振り込ませる「還付金詐欺」が、前年に比べ倍増したことが県警捜査2課のまとめで分かった。背景には、時事問題に合わせた手口の変化があり、県警や自治体では今年度中にも始まる定額給付金の支給を利用した詐欺に対し、警戒を強めている。(時吉達也)
同課によると、昨年の振り込め詐欺の総被害件数は前年比68件増の325件で、被害総額は同約8500万円増の約4億9600万円。そのうち「還付金詐欺」は、19年の51件からほぼ倍増の101件となり、被害総額は約1億2200万円に上った。息子や孫を名乗って金をだまし取る「オレオレ詐欺」(前年比36件増の139件)や、架空の料金支払いを求める「架空請求」(同11件減の33件)に比べ、被害の増加率は突出している。
社会保険庁の年金記録不備による混乱が続いた昨年、年金の未納や過払い分の還付を口実にした詐欺被害が相次いだことから、同課では時事問題が犯行に利用されるとして「今後は定額給付金の振り込みを装った詐欺が増える」と分析。
県警はすでに、各自治体が受給通知書を送付する際に同封する注意喚起書類を70万部以上印刷したほか、同課内に14人体制の振り込め詐欺専従捜査室を新設することを決定。被害防止と摘発の両面で対応強化を図る。
対策に頭を悩ませるのは、県内の各自治体も同じ。最も効果的なのは、照会や問い合わせをすべて書面で行い、不審電話による被害を減らすことだが、効率面の問題から非現実的。ホームページのトップで大きく「定額給付金を装った振り込め詐欺にご注意ください」と呼びかける前橋市も、「あまりに遅くなってしまえば、定額給付金の趣旨から外れてしまう」(市行政管理課)。給付金振込先を本人口座に限定する、などの対策を検討しているという。また、伊勢崎市企画調整課では、「照会の際には、必ず折り返しで電話をもらうよう対応する方針」としている。