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宙に浮く低金利と円安

2009年3月4日

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 昨年秋に始まった日本の輸出の減少は、とどまることを知らない。今年1月の米国向け輸出に至っては、1年前に比べて半分以下の金額にまで落ち込んだ。経済も、昨年10〜12月期では年率換算すると2けたのマイナス成長となった。日本経済にとって、輸出が唯一無二の成長の原動力だったことを思い知らされている。

 ここまで輸出頼みの経済が実現した背景には、何ら制約なしに借金を重ねて所得以上に消費する米国市場の存在があった。そして日本も、輸出がスムーズに拡大するため、日本から米国に資金が流れるように、金利を低くし円を安くして「協調」した。こうして日本は直接に、あるいは中国やアジア諸国を通じて間接的に米国市場に向けて輸出を拡大し、輸出は経済成長のエンジンとなった。

 ところが、米国で異変が起きた。住宅バブルが破裂して、住宅価格の本格的下落によって、金融危機を招来した。同時に住宅の担保余力がなくなり、所得を超えた借金による消費は瞬間的に蒸発した。

 輸出を続けるためにとられてきた円安と低金利が、いわば宙に浮いたまま残されている。貿易黒字がドル資産として積み上がると、本来為替相場を市場に委ねていたならば、ドルが売られ、円が切り上がる。輸出価格が上昇し、徐々にブレーキがかかり、黒字がゆっくりと調整されたはずだった。

 予想外のことが起こり始めた。まず輸出に急ブレーキが掛かった。国内では、おカネはジャブジャブといわれたが、いつの間にか資金繰り倒産が頻発し、貸し渋り、すなわち資金逼迫(ひっぱく)が問題となっている。ドル資産は積み上がったままである。金利上昇と円高が起こるリスクが高まっている。(岳)

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