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NIKKEI NET

社説1 違法献金の疑いに小沢代表は説明を(3/4)

 小沢一郎・民主党代表の資金管理団体会計責任者が、準大手ゼネコン西松建設から違法な政治献金を受け取っていた疑いで、東京地検特捜部に逮捕された。

 政治資金規正法は、会社から政治家個人への献金を原則禁じている。西松建設は同規定をくぐり抜けるために、会社OBを代表にした政治団体をつくり同社社員や家族が会費を納める形をとって、会社のカネを政治団体を通じ小沢代表側に渡していた疑いがある。

 一方、逮捕された会計責任者は、そうした偽装を承知のうえ西松建設から来た違法なカネと知りながら寄付を受け、表面上適正を装う処理をした容疑を持たれている。

 規正法のこの規定は、政治資金の名を隠れミノにしてワイロ性のこもるカネを政治家に贈る実質的な贈収賄を防止する意味がある。会社や団体から政党に贈った献金が特定の政治家に渡るように仕組む、いわゆる迂回(うかい)献金が問題になるのも同じ趣旨だ。

 つまり今回、小沢代表側は、政治資金を処理するうえでの単なる形式違反ではなく、政治とカネを巡って政治家が国民に疑惑を抱かれぬよう細心の注意を払うべきところでごまかしをした嫌疑をかけられたわけだ。しかも逮捕された会計責任者は小沢代表の公設第一秘書でもある。

 小沢代表は「すべて(政治資金は)きちんと処理している」と党の幹部会で発言したという。また鳩山由紀夫幹事長は検察による逮捕に陰謀を感じるとまで言った。

 これでは容疑内容の重大さを分かっているのか疑わせるだけで、国民を納得させられるものではない。きょう行うとしている記者会見では、分かっている事実をあまさず公表し、十分な説明をしてもらいたい。

 西松建設の裏金を巡っては、海外から不正に資金を持ち込んだ外為法違反罪で前社長らが起訴され、法人としての同社が罰金の略式命令を受けた。過去10年でつくった裏金は10億円以上にのぼるとされる。

 その使い道で初めて違法の疑いが摘発された。小沢代表側への資金の抜け道に使った政治団体からは、与野党国会議員らに総計約4億7000万円を献金してきた。すべて、実際には西松建設のカネだったと考えられ、受け取った政治家側が事情を承知していれば今回と同じ容疑がかかる可能性がある。

 東京地検には、捜査権力を公平に行使する観点からも、厳正な姿勢でそれぞれの献金先を調べることが求められる。

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