五島議員辞職/民主党は足元から見直せ
2005/12/14 不祥事が続いている民主党で、こんどは五島正規衆院議員(比例代表四国ブロック)が、政策秘書らによる選挙違反事件の責任をとって議員を辞職した。 この秘書は公選法違反(買収)の罪に問われ、初公判で起訴事実を認めている。 五島氏は当選六回で、党運営や政策づくりの中核を担うべき幹部の一人だ。その責任や立場の重さを考えれば、連座制の適用を待つまでもなく、自ら議員を辞するのは当然といえるだろう。 それにしても、民主党は一体、どうなっているのか。このところのタガの緩みは目に余るのではないか。 つい先日、西村真悟衆院議員(党除籍)が弁護士法違反の容疑で逮捕された。九月には、総選挙で落選した元議員が覚せい剤所持で捕まっている。このほか昨年来、秘書給与の詐取や学歴詐称、公選法違反と相次ぎ、あきれるほかない。 薬物の使用や弁護士の法律違反など、そもそも社会人としての倫理が欠けているとしかいいようがない犯罪だ。 選挙の大敗を受けてスタートした前原・民主党は、巨大与党を相手にした「改革競争」で、なんとか党勢の回復を図りたいところだ。そんな大事な時期なのに、身内でスキャンダル続出では話にならない。 今回、前原代表は「毅然(きぜん)とした対応をとる」とくり返してきた。ダメージを最小に抑えたいということだろう。「今週末の党大会までに問題を片付けたい」という党幹部の発言にも、同じ思惑がうかがえた。 結局、五島議員の辞職で党としての処分は見送られたが、辞職したから終わりというわけにはいかないだろう。 これだけ不祥事が続くのは、なぜか。単に議員の資質だけではない、党の組織や運営に何らかの構造的な問題があるからではないか。そう受け止めて、自らを足元から見つめ直す機会にすべきである。 二大政党をめざす中で、考え方や経歴などを十分に吟味しないまま、安易に公認候補を選ぶ傾向はなかったか。組織内部の政治倫理、規律は確立されていたのか。 ただすべき問題をただし、自浄力を示してもらわなければならない。 いくら政策が優れていても、国民の信頼が欠けていては党の再生は遠い。野党第一党として、与党の政策や取り組み、疑惑を追及する矛先が鈍るようでも困る。 連続した不祥事をしっかり総括し、政治不信の広がりに歯止めをかける必要がある。前原執行部の責任は引き続き、きわめて重いというべきだ。 [ 閉じる ]
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