【社説】海外メディアの韓国経済危機説
英国の時事週刊誌エコノミストと経済紙フィナンシャル・タイムズは最近、韓国経済が対外債務危機に直面する可能性があると相次いで報道した。両誌紙が取り上げた韓国経済の問題点は大きく分けて三つだ。それは▲今年満期を迎える対外債務1940億ドル(約19兆円)が外貨準備高に匹敵する規模であること▲東欧の金融危機で困難に直面している欧州の銀行からの借入金が韓国の対外債務の58%を占めており返済繰り延べが困難になる可能性があること▲韓国の銀行が預金の1.3倍を融資しておりその差額を借り入れに依存しているため世界的な信用収縮による圧力を受ける可能性があること―だ。
韓国政府は直ちに「事実とは異なる」と反論資料を示した。まず、今年満期を迎える流動対外債務(満期1年以内の短期対外債務と今年満期が到来する長期対外債務)から、造船会社と輸出企業が為替ヘッジ目的で借り入れた390億ドル(約3兆8300億円)を差し引くべきだと主張した。船舶建造代金と輸出代金を受け取れば、自動的に清算されるため、事実上対外債務とが見なせないためだ。この基準で見ると、外貨準備高に占める流動対外債務の比率は96.4%から77%に低下する。
欧州の銀行が最大の債権者だという点については、東欧向けの貸し出しが多いオーストリア、ベルギー、スウェーデン、イタリアの銀行からの借り入れがほとんどなく、東欧の金融危機による影響は大きくないと指摘した。銀行の預貸比率も実際には130%ではなく118.8%であり、定期預金と性格が似た譲渡性預金(CD)を預金に含めれば101%まで低下するとした。
しかし、こうした韓国政府の説明は市場に受け入れられていない。金融市場の不安が解消せず、ウォン安は国家的債務不履行の危機に追い込まれた東欧国家の通貨並みに弱含んでいる。韓国政府の説明が十分でないか、広報に何らかの穴があるとみるほかない。
海外メディアは韓国経済を取り上げる際、しばしばほかのアジア各国・地域と比較する。外貨準備高に占める流動対外債務は中国が7%、インドが9%、マレーシアが15%、タイが17%、台湾が26%だ。韓国は造船会社の為替ヘッジ資金を差し引いても77%に達する。銀行の預貸比率が100%を超えている国もアジアでは韓国だけだ。こうした数値を見れば、韓国経済がアジアで最も危険だという印象を受けやすい。それでも政府はその点に対する言及がないまま、一部の数値の誤りと誇張された部分だけを問題視して反論資料を示した。焦点が食い違っているのだ。
昨年9月に金融危機が表面化して以降、こうした出来事がしばしば繰り返されている。政府は海外メディアが指摘した問題について、あるがままの事実を正確に明らかにし、その解決法を共に示さなければならない。そうしてこそ、国民も韓国経済に対する自信を抱き、政府の政策を信頼することができる。
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