岡山市の後楽園にも“誕生日”がある。池田家から岡山県に譲られて一般公開が始まった一八八四年三月二日である。昨日の開園記念日、無料開放され、イベントもあるというので訪ねてみた。
人気は今が見ごろの梅林だ。白梅、紅梅、しだれ梅と咲き競い、記念撮影のスポットになっていた。メジロが数羽、花から花へ忙しく飛び回るのも観察できた。こんな間近でと、驚くとともに春近しを実感した。
ボランティア手作りの新作紙芝居も初披露され関心を呼んでいた。殿様が子どもを園内に案内する平易な内容だが、大人にも後楽園の概要を気軽に知ってもらえそうだ。観光客向けに園内で上演すれば喜ばれるのではないか。
それにしてもイベントが平日に一日限りというのはなんとも寂しい。開園記念日は築庭三百年の二〇〇〇年に定められ、今年が十回目。しかも岡山県に譲渡されて百二十五周年の節目なのにである。
園内では陽光の下、芝生でくつろぐ親子連れやお年寄りなどもみられ、ほほえましかった。観光客を呼び込むだけでなく、地域住民が日常的に親しめる場にとあらためて感じた。
四月から政令指定都市になる岡山市にとっても今後の都市づくりや観光戦略を練るうえで、後楽園の存在は大きい。岡山市がどう位置づけるかも重要になろう。