「画像データを送れるようになりました」,ソニーが新機能を追加したFeliCa用リーダー/ライター・モジュールを展示
ソニーは,2009年3月3〜6日まで東京で開催されている「IC CARD WORLD 2009」で,新機能を追加したFeliCa用リーダー/ライター・モジュール「RC-S620/U」を出展し,関連実演を披露した(図1,2)。同社従来品「RC-S600/UA」と比較して,無線通信規格「NFC(near field communication)」と,FALP(FeliCa Ad-hoc Link Protocol)と呼ぶ双方向データ通信プロトコルに対応したのが特徴である。同種の機能を備えたリーダー/ライターは既に同社のノート・パソコンに搭載済み。「2009年2月ごろからモジュールの外販を始めたばかり」(説明員)だという。モジュールに関しては,ノート型やデスクトップ型のキーボードなどへの内蔵を想定している。
FALP機能に対応することで,FeliCaによって容量の小さい画像データなどを転送できる。会場では,ノート・パソコンで閲覧しているWebサイトの画像データを,FeliCa機能対応の携帯電話機に転送する実演を見せた。データ伝送速度は最大424kビット/秒で,実際のデータ伝送速度は携帯電話機によって異なる。通信する機器同士の距離によっても速度は変わる。
FALP機能は,ソニーが開発した近接無線通信技術「TransferJet」と比較するとデータ伝送速度が遅い。そのため,データ量の小さい画像データや地図データを手軽に転送する用途に向ける。TransferJetでは大容量データを伝送する,という使い分けを想定する。実際に,FALP機能を使ったアプリケーションを実装するには,送信側(ノート・パソコンなど)にモジュールを載せた上,ソフトウエアを搭載する必要がある。一方,受信側(携帯電話機など)は,FeliCa機能に対応すれば,FALP機能でデータを受信できる。
RC-S620/Uの外形寸法は70mm×43mm×3mmで,質量は約17g。通常動作時の電源電圧は3.3Vで,消費電流は最大100mAである。
なお,NFC機能とFALP機能に対応した外付け型のFeliCa用リーダー/ライターは2009年1月に発売済みだという。この品種は個人向けで,業務用の品種を2009年3月に発売予定である。