太平洋戦争末期の激戦で、日本兵約2万人が戦死した硫黄島(東京都小笠原村)で3日、厚生労働省主催の追悼式が行われた。遺族代表の宮野綾子さん(77)は「遠い孤島でどんなに寂しかったか。我々も必死に豊かな家庭、平和な国を築きました。安らかにお眠り下さい」と悼み、平和への願いを新たにした。
「お父さん。山口の水ですよ」。山口県周南市の津田紀朗さん(68)は、ペットボトルに入った地元の水を石碑にかけ、亡き父に語りかけた。雨水が唯一の水源の同島では兵士は泥水でのどを潤すほど水不足が深刻。戦中、自衛隊基島から届いた手紙には「内地の水があるだけで飲みたい」と書かれ、津田さんは「60年ごしで父の願いをかなえられた」。
この日の硫黄島は透き通る晴天に強い日差しが重なり気温は約25度。遺族らは汗をぬぐいながら、亡き家族の戦没地を巡拝した。(02:06)