「西松建設」裏金事件 民主・小沢代表の公設第1秘書らを政治資金規正法違反容疑で逮捕
中堅ゼネコン「西松建設」の裏金事件で、東京地検特捜部は、政治資金規正法違反の疑いで民主党の小沢一郎代表の公設第1秘書を逮捕した。民主党を除く与野党からは、小沢代表に説明を求める声が上がっている。
東京地検特捜部が3日午後5時すぎ、小沢代表の事務所に強制捜査へ入った。
東京地検特捜部が家宅捜索したのは、民主党の小沢代表の資金管理団体の事務所。
小沢代表の公設秘書・大久保 隆規容疑者(47)、西松建設前社長の国沢幹雄容疑者(70)、それに元総務部長・岡崎彰文容疑者(67)の3人が逮捕された。
大久保容疑者は、2003年から2006年にかけて、西松建設から小沢代表の資金管理団体「陸山会」に2,100万円の献金を受けたにもかかわらず、政治資金収支報告書には、西松建設のOBが代表を務めていた2つの政治団体から献金を受けていたという虚偽の記載をしていたなどの政治資金規正法違反の疑いが持たれている。
小沢氏の秘書逮捕の一報は、永田町に激震を走らせた。
自民党の町村信孝前官房長官は「大変、驚いております」と述べた。
公明党の北側一雄幹事長は「非常に重大な事態だと、言わざるを得ないと思います」と話した。
共産党の穀田恵二国対委員長は「説明責任を果たすというのが、最低限の問題じゃないでしょうか」と語った。
説明を求める与野党に対し、民主党の鳩山 由紀夫幹事長は「(小沢代表から)資金の出し入れは、基本的に非常にすべてオープンでやってるから、きちんと処理をしてると。したがって、まったく問題はないんだと」と述べた。
また、小沢氏の代表辞任などの進退問題については、「この問題で今すぐにという判断にはならない」と述べた。
一方、永田町にはある憶測が飛び交っている。
社民党の重野安正幹事長は「いつ解散・総選挙かという政治日程でしょう、その中での事態ですからね」と述べた。
国民新党の亀井久興幹事長は「何かそういう背景があるのかもしれない」と話した。
民主党の山岡賢次国対委員長は「仕組まれた陰謀ですよ」と語った。
今回摘発されたのは2,100万円だが、西松建設は問題の2つの政治団体を通じ、与野党の国会議員側に総額4億8,000万円の政治献金を行っていたことがわかっている。
西松建設と小沢代表をめぐっては、年末から2009年初めにかけて、一部新聞や週刊誌が関係の不透明さを指摘する記事を掲載していた。
小沢代表は1月31日、「私どもとしては、政治団体から受けたと思って、多分受け取ったんだろうと思いますから、何の違法性もありませんけれども。その(献金の)原資がもし違法なものであるということが事実がはっきりした時点で、今のことについてはどうするか、対応を考えたいと思っております」と述べていた。
一方、西松建設をめぐっては2008年、海外事業で捻出(ねんしゅつ)した裏金およそ1億円を無届けで持ち込んでいたことが表面化している。
この裏金をめぐり、2009年1月、国沢幹雄前社長ら幹部が東京地検特捜部に逮捕されている。
西松建設の石橋 直社長は1月27日、「前社長ということで、彼1人が悪いんではないと、わたしは思っております。その暴走というのがどこで行われたか、われわれはよくわからなかったわけです」と話していた。
さらに2月24日には、長野県の村井 仁知事の元秘書・右近謙一参事が自殺した。
この元秘書は、西松建設の裏金問題で特捜部から事情聴取を受けていた。
2次補正予算関連法案の参院本会議採決、衆議院の再議決を4日に控えたタイミングでの逮捕劇。
小沢代表からの説明が待たれる。
麻生首相は「個別案件について、コメントすることはありません。解散の時期なんか関係ありません」と述べた。
(03/04 01:06)