準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)による政治資金規正法違反事件で、ダミーの二つの政治団体から小沢一郎・民主党代表側への献金は、2002〜06年の5年間で計4200万円に上ることが分かった。
この期間に両政治団体が献金などで支出した政治資金の約4分の1を占めており、西松建設の資金提供の中で、突出していたことが浮き彫りになった。
「金丸信・元自民党副総裁(故人)とのつきあいの延長線上にあった。腐れ縁だ」。同社が小沢代表へ献金した背景について、同社元幹部は、こう明かす。
複数の西松関係者によると、ゼネコン業界に絶対的な影響力を持っていた金丸元副総裁の「秘蔵っ子」として頭角を現した小沢代表は、同社にとっても特別な存在だったという。
また、小沢代表の地元・岩手の建設業関係者は、「バブル崩壊前までは、小沢陣営が岩手でゼネコン各社を動員して徹底した票の掘り起こしを展開した際、西松建設は積極的に動員に応じていた」などと証言する。
1993年の巨額脱税事件で金丸元副総裁が失脚し、小沢代表も同年、自民党を割って出たが、西松建設はその後も、小沢代表が党首などを務めた旧新進党や旧自由党の政治資金団体への献金を続けていた。
同社は2002年、ダミーの政治団体「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」の名義で、小沢代表が旧自由党時代に代表を務めた「自由党岩手県第4総支部」に計700万円を献金。さらに、旧自由党と旧民主党が合併して現在の民主党が誕生した03年以降は、両政治団体から小沢代表の資金管理団体「陸山会」(東京都港区)への献金も始まり、その額は両政治団体が06年に解散するまで、計2100万円に上った。
このほか、両政治団体名義では、小沢代表が代表者を務める「民主党岩手県第4区総支部」(岩手県奥州市)に対しても、03〜06年に計1400万円の献金が行われた。両政治団体を使った献金やパーティー券購入などの政治資金は、06年までの5年間で計約1億7000万円。このうち小沢代表側への献金(計4200万円)は、約4分の1を占めていたことになる。
小沢代表側への献金について、同社元幹部は「献金すれば仕事が取れたわけではないが、小沢氏の地盤の東北地方で仕事がしにくくなると困るので、献金を続けていた」と証言している。
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