兵庫県内でこんにゃくゼリーを食べて死亡した当時1歳9カ月の男児の両親が3日、食品としての安全性に欠陥があったとして、製造元の「マンナンライフ」(群馬県富岡市)と同社社長らを相手に約6240万円の損害賠償を求める訴えを神戸地裁姫路支部に起こした。
訴状によると、男児は昨年7月29日、祖母に与えられたこんにゃくゼリー「蒟蒻(こんにゃく)畑」をのどに詰まらせ、9月20日に多臓器不全で死亡した。ゼリーは凍らされていた。両親は「こんにゃくゼリーは弾力性があってかみ砕きにくい一方で、一気にのみ込みやすい形になっていた」と指摘。マンナンライフ側は欠陥をなくして販売する義務を怠ったなどとしている。
両親は提訴後に会見した代理人弁護士を通じ、「息子が亡くなったのは単なる不慮の事故ではなく、企業努力で防げたものだ」との談話を出した。一方、マンナンライフは「訴状を見ていないのでコメントは差し控えます」としている。
同社は男児の事故を受け、昨年10月8日に蒟蒻畑の製造を中止。パッケージに「凍らせないように」という表示を新たに加えたほか、こんにゃく粉の添加量を減らして弾力性を低くするなどの対策をとった上で11月22日から製造を再開した。国民生活センターによると、同様の死亡事故は95年以降、各地で22件起きているという。