4日にも衆院で財源確保が再議決される見通しの定額給付金で、もう一つの問題が浮上している。国内で働く外国人研修生や留学生も支給対象になっているが、不況による解雇や期間満了、卒業で多くの対象者が受け取らずに帰国してしまう恐れがある。「給付金が宙に浮いてしまう」と、受け入れ団体や自治体は気をもんでいる。(堀篭俊材)
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「1人1万2千円の定額給付金は、ベトナムでは工場で働く労働者の月収に当たる。研修生は2、3年目には税金を払っているし、できれば何とか受け取らせてあげたい」。淀川中小企業振興協同組合(大阪市)の西川直孝・国際事業部長は話す。
同組合は、ベトナムや中国から外国人研修・実習生約900人を受け入れ、東大阪など府内の中小企業に職をあっせんしている。2月には、3年間の期間満了により約40人が帰国した。3月中旬にも約30人が帰国する予定だ。
給付金は、2月1日現在で外国人登録原票に登録されている外国人も支給対象になる。支給が正式に決まれば、住んでいた住所に市町村から申請書類が届くが、帰国者は引き払ってしまった後だ。
さらに、自治体の事務手続きが遅れれば、帰国者もその分、増えてしまう。不況により勤務先を解雇され、帰国を余儀なくされる人が今後、増える可能性もある。
「申請手続きがなければ支給は難しい」(大阪市)が、帰国後のフォローは現状では困難だ。留学生も事情は同じ。とくに、国会審議が混乱して、支給予定時期が卒業シーズンにずれ込んだことも、影響を大きくしそうだ。
約2500人の留学生を抱える立命館アジア太平洋大学(大分県別府市)は、3月13日に卒業式を予定している。韓国や中国などからの約340人が卒業する予定だ。日本企業に就職したり、大学院に進んだりする約100人は日本に残るが、帰国する留学生も少なくないとみられる。