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特集ワイド:昼ドラ社会学 TBS系「愛の劇場」、愛届け40年に幕(3/3ページ)

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 テレビ局の事情もある。ドラマ制作には、俳優をそろえ、ロケをしたり、セットを作ったりと多大な費用がかかる。しかし、局のアナウンサーを使った情報番組なら「ドラマの半分の制作費ですむものもある」(プロダクション関係者)という。景気低迷の影響は、華やかに見えるテレビ業界にも出ている。

 シリーズ最後を飾るのは、2月から放映の「大好き!五つ子」。主役の森尾由美さん(42)は「『大好き』は今回で11作目。これまでは夏休みにやっていたので、親子そろって楽しんでいただいたようです。最初のころは、子役のセリフまで私たちが覚えていたんですけど、そのうちこちらのセリフを覚えてくれるようになって。ドラマの中で家族が成長してきただけに、番組の終了はとっても寂しいです」と話す。

 一方、ライバル局はどうか。フジテレビ系で午後1時半から流れる30分の昼ドラは、ドロドロの愛憎劇が多く、こちらもファンが根強い。今月から始まった東海テレビ制作の「非婚同盟」を見ると--。

 父親と宝塚歌劇を見に行く約束がかなわなかった少女に、家政婦がきっぱり。「世田谷の方に二号がいるんですよ」。続いて、兄もきっぱり。「僕たちの腹違いの弟がいるんだよ。世の中はきれいなことばかりじゃないんだよ」。この後、妻と愛人の同居が始まる展開だとか。ウワサにたがわぬドロドロだ。

 脚本は、話題になった「真珠夫人」や「牡丹と薔薇(ばら)」も手がけた、中島丈博さん(73)。「夜のドラマに比べ、欲望むき出しでも、思想的な表現でもわりと自由に書かせてくれる。人間の美しさと醜さを、セリフを通して生々しく伝えることができる。それが昼ドラの魅力になっているのでは」。愛の劇場の終了については「ぼくとは違うホームドラマでしたから、見る人は両方楽しみにしていたのでは。競争相手がいなくなるのは残念だね」と話す。

 テレビ文化を彩った一つの昼ドラ。消えてしまうのは、主婦ならずとも惜しい気がする。

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 ◇「愛の劇場」 話題作と主演女優(敬称略)

タイトル      放送開始時期   主演

女の絶唱      1969年 2月 三ツ矢歌子

人生の並木路      73年 8月 松本留美

赤い殺意        75年 5月 市原悦子

ここに幸あり      75年 9月 松本留美

名もなく貧しく美しく  76年 3月 島かおり

私は忘れたい      77年 1月 大空真弓

岸壁の母        77年11月 市原悦子

別れて生きる時も    78年 1月 松原智恵子

わが子よ        81年 7月 小林千登勢

黒革の手帖       84年 1月 大谷直子

その時、妻は      84年 9月 中田喜子

ああ嫁さん       88年 1月 池内淳子

天までとどけ      91年 3月 岡江久美子

家族の物語       93年 1月 赤木春恵

ぽっかぽか       94年 6月 七瀬なつみ

39歳の秋       98年 8月 片平なぎさ

大好き!五つ子     99年 8月 森尾由美

温泉へ行こう      99年 9月 加藤貴子

新・天までとどけ    99年12月 松田美由紀

ママまっしぐら!  2000年 6月 芳本美代子

コスメの魔法      04年 1月 萬田久子

吾輩は主婦である    06年 5月 斉藤由貴

砂時計         07年 3月 佐藤めぐみ

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 ◇「特集ワイド」へご意見、ご感想を

t.yukan@mbx.mainichi.co.jp

ファクス03・3212・0279

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毎日新聞 2009年1月8日 東京夕刊

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