脳血管が詰まる虚血性脳卒中は、米国では最も一般的なタイプの脳卒中(出血性、一過性脳虚血を含めた全脳卒中の83%)である。ASAによると、米国の年間脳卒中死亡者数は約14万4,000人。今回の研究で、米ミシガン大学(アナーバー)公衆衛生学部疫学助教授のLinda Lisabeth博士らは、長期にわたるフラミンガム心臓研究(Framingham Heart Study)に参加した女性1,430人の追跡調査を実施した。
全例、60歳まで脳卒中は認められず、自然閉経であった。内訳は、42歳前に閉経を迎えた早期閉経女性56人、42~54歳の中期閉経女性1,299人、55歳以降の後期閉経女性75人であった。閉経前にエストロゲンを使用した被験者はいなかった。追跡調査は、最初の虚血性脳卒中発生症時、死亡時、または22年の追跡調査終了時のいずれかまで行った。
この期間中、後期閉経群では8人、中期閉経群では213人、早期閉経群では13人が脳卒中を発症した。年齢や血圧、糖尿病、喫煙、心疾患などの因子で調整後も、早期閉経女性における脳卒中の発症率はそれ以外の女性の2倍であった。Lisabeth氏は「女性の脳卒中全体の4~5%がこの危険因子(リスクファクター)によると思われる。関連性は不明だが、閉経に伴うエストロゲン減少が何らかの役割を果たしている可能性がある」としている。
米ヘンリーフォードHenry Ford病院(デトロイト)神経学助教授のBrian Silver博士は「早期閉経女性で脳卒中リスクが100%増加、つまり2倍になるのは統計学的に有意差を認めるものである。脳卒中の発症割合が小さいとしても、関連性についてさらに追及すべきである。今回の研究では発症機序が明らかにされてないために、早期閉経女性にホルモン補充療法(HRT)を勧めるには時期尚早である。運動、減量、喫煙、バランスの取れた食事、血圧コントロールを心掛けるとともに、定期的な血糖値のチェックと正常なコレステロール値の維持が望ましい」と述べている。研究結果は米医学誌「Stroke(脳卒中)」2月号にも掲載された。(HealthDay News 2月20日)
http://www.healthday.com/Article.asp?AID=624333