• キレイニュース
  • 彼女がキレイな理由(わけ)
  • 私の選択
  • マイキレ・ドリーム
  • TOKYO キレイナビ
マイキレドリーム
あなたはどれ?私の選択
この春挑戦したいヘアスタイルは?
ボーイッシュなショートカット 26.6%
26.6%
重めのパッツン前髪 29.6%
29.6%
にわかブームのロングソバージュ 21.7%
21.7%
エクステでロングヘア 7.4%
7.4%
明るめのヘアカラー 14.8%
14.8%
KiReI NEWS
文字サイズ変更

特集ワイド:同世代女性に静かに波紋 元タレント・飯島愛さんの死

2009年2月25日 10時25分 更新:2月25日 10時25分

宇都宮市内で今月6日開かれたHIV感染防止の啓発イベントに参加した飯島愛さん=宇都宮市で2008年12月6日午後3時32分、松崎真理撮影
宇都宮市内で今月6日開かれたHIV感染防止の啓発イベントに参加した飯島愛さん=宇都宮市で2008年12月6日午後3時32分、松崎真理撮影

 元タレントの飯島愛さん(享年36)が亡くなってから2カ月。その死は、30~40代の働く独身女性に衝撃を与え、今も静かに波紋を広げている。一体、飯島さんの何に自らを重ね合わせたのだろうか。【山寺香】

 ◇「この先も独身で、もし仕事もやめることになったら」「あなたの寂しさ、いたいほどわかります」

 ◇「愛」という孤独に共感

 飯島さんがネット上で公開していたブログ「ポルノ・ホスピタル」。昨年のクリスマスイブに遺体となって見つかって以降も、死を悼む書き込みが続き5万件近くに上る。

 「あなたの寂しさいたいほど、分かります」

 「愛さんのように友人がたくさんいて優しい人が孤独と呼ばれるのだったら、私は一体どうなるのだろう」

 ハンドルネーム、内容から判断するとその多くが飯島さんと同世代の女性が書き込んだと見られる。

 東京都内の編集者、中村綾子さん(34)=仮名=は、それまで特に飯島さんに注目していたわけではない。けれども自分でも不思議なほど深いショックを受けた。「どうして死んだの? かわいそうすぎる」。中村さんは飯島さんのブログにアクセスした。そこで飯島さんのこんな一文に目を見張った。

 「時々、急に、寂しくなったりしませんか?」

 「だって寂しくねーか? 一人じゃ生きていけないんだモン」

 中村さんが自分のブログに書いている内容と同じだった。胸を突かれる思いがした。

 都内に住む1級建築士の石原みずきさん(35)=同=も、飯島さんの死にショックを受けた一人だ。飯島さんの服装や髪形などのファッションが好きだった。言いたい放題言っているようで相手に気を使わせないトーク術は、仕事上で参考にもなった。飯島さんは、同年代で等身大の身近な存在だった。

 石原さんは当初、飯島さんは自殺ではないかと考えたという。欲しい物は手に入れたが、パートナーだけは手に入れられず孤独だったのではないかと思えたのだ。

 「飯島さんは美しく性格もよさそう。友達もたくさんいた。普通の女の子でも頑張れば手が届きそうな理想型に感じられた。でも一人だった……。これ以上どう頑張ったら一人を抜け出せるの?」

 石原さんが孤独を意識するようになったのは、30歳を過ぎたころだ。仲の良い女友達と食事をしても、一人暮らしのマンションに帰ると孤独感に襲われるようになった。それは年々強まり、息苦しいほどの恐怖に変わっていった。やっと解放されたのは、1年半ほど前。将来を思い描ける男性に出会った時期と重なる。「もし今も一人だったら、飯島さんの死をこんなに冷静に語れなかったかもしれません」と言う。

 自身の「孤独」を飯島さんの生き方に重ね合わせていたのか。飯島さんともほぼ同世代のエッセイスト、辛酸なめ子さん(34)は飯島さんが05年から亡くなるまで書いてきた「ブログ」をキーワードに飯島さんの「孤独」をこう推し量る。

 「私もブログを開設しています。つながりたい欲求があるからです。誰かが共感してくれたらいいと思っている。コミュニケーションの代わりかもしれません。友達のブログを読むと、会わなくても何となく『元気だな』って分かった気分になってしまい、直接言葉を交わすことはますます少なくなる。よけい人間関係は希薄になってしまっているのでは」

 そして続けた。

 「同世代の女性が飯島さんの死に動揺するのはごく自然なことだと思います。都会で女性が一人で生きていくのは大変なこと。飯島さんの孤独死は、その厳しさを意識させたのではないでしょうか」

 30~40代の独身女性が強い不安や孤独を感じるのはなぜか。女性の心理に詳しい原宿カウンセリングセンター所長の信田さよ子さん(臨床心理士)は「一般的にこの世代の独身女性は容姿の衰えや出産能力の低下を意識せざるをえない」と指摘する。

 女性の社会進出が進み、昔に比べると選択肢は飛躍的に広がったかに見える。一方で、30歳を過ぎれば仕事よりも結婚を期待する親や世間の圧力も変わらず存在する。信田さんは「結婚が女性にとって最大の関門であることは依然として変わらない。選択肢が増えた分、選んだツケは自分で払うことになる」と話す。

 女性たちに衝撃を与えたのが「孤独死」だったようだ。

 名古屋市に住む精神保健福祉分野の相談員、吉川飛鳥さん(29)=同=は仕事柄、結婚後の生活に悩む女性の姿も多く見てきた。それだけに<独身=不幸>とは思わない。しかし、孤独死は人ごととは思えなかった。仕事にはやりがいと誇りを感じているが、このまま独身で働き詰めだったら将来はどうなるのか。以前から漠然とした不安はあったが、30代の飯島さんの死で不安は具体的なイメージを持つようになった。

 「この先も独身で、もし体を壊して仕事を辞めるようなことになったらどうなるか。自分と社会とのつながりが何もなくなってしまうのではないか。職場でどんなに親しくしていても、仕事を辞めたら連絡を取る人はいなくなるのではないか」。そう考えると怖さを感じたという。

 「孤独のチカラ」の著書がある明治大学教授の斎藤孝さん(教育学)は、「飯島さんは芸能界で活躍し交友関係も広かった。その華やかなイメージと、寂しい最期のギャップが衝撃を大きくしたのではないか。普段から孤独な人でなくても、いざという時に頼りになる人間関係が意外に少ない事実を突きつけられたのだろう」と分析する。

 話を聞いた3人の女性は、いつも孤独を口にしているわけではない。それどころか、みんな自信にあふれて見える。一人は「『寂しい』なんて普段は口にしない」と話した。信田さんが指摘するように「飯島さんは『死』をもって女性たちに実存的な問いを投げかけた」ということか。

 「死ぬときは結局一人なんですよ」。斎藤さんはそう口にした。独身か既婚かにかかわらず、もちろん男女の別もなく、誰もが孤独を抱えて生きている。普段なかなか口にできない寂しさを率直に表現した飯島さんに、心を揺さぶられる人も少なくなかったのかもしれない。

==============

 ◇「特集ワイド」へご意見、ご感想を

t.yukan@mbx.mainichi.co.jp

ファクス 03・3212・0279

==============

 ■人物略歴

 ◇飯島愛(いいじま・あい)

 1972年、東京生まれ。90年代にテレビの深夜番組で人気を集め、以降バラエティー番組を中心に活躍。00年に自伝小説「プラトニック・セックス」を執筆、両親との葛藤(かっとう)やアダルトビデオ出演、整形、妊娠中絶などの過去を告白。150万部を超すミリオンセラーとなった。07年3月に体調不良などを理由に芸能界を引退。08年12月24日に東京都渋谷区の自宅マンションで亡くなっているのを知人が発見した。死後約1週間が経過していた。死因はさまざま取りざたされたが、肺炎と発表された。元所属事務所主催のお別れの会が3月1日、東京プリンスホテル(港区)で開かれる予定。

ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
 
毎日新聞購読申し込み毎日ウィークリー購読申し込み
Copyright 2009 THE MAINICHI NEWSPAPERS. All rights reserved.

毎日jp掲載の記事・写真・図表など無断転載を禁止します。著作権は毎日新聞社またはその情報提供者に属します。

「注目のキレイワード」「マイキレ・ドリーム」「TOKYOキレイナビ」の情報提供元は、CouponLand(クーポンランド)美食ナビです。
お問い合わせ:株式会社サイファ