RJQ.JP サイト内検索
 
  作者プロフィール HOME


最新記事リスト


目的の記事をダイレクトに探す場合は本ページ右上のRJQ.JPサイト内検索をご利用ください。


  2009年3月2日記載
  一体、何のための高齢者マーク表示制度なのか
 

道路上には様々な人たちが運転している。免許取立ての初心者から大ベテランの方まで、運転技術という視点でも同世代の間で差が著しく多種多様の人たちが同じ道路という場所を使って混在走行している。

そのうち、運転免許を取得したばかりの人たちに義務化されている初心者マーク制度があり、周辺のドライバーに周知させることで安全確保が保たれている。

初心者マークは、運転者本人の技術がまだ未熟であることを公表して安全確保のほかに当人にとっては低レベルであることも同時に公表するために運転初期はともかくプライドが邪魔したりすることもある。特に免許取得してから毎日運転している初心運転者にとっては最初の数ヶ月はともかく、取得後1年近い時間が経過してくると1年を待たずして初心者マークを外そうとする者も多いのではないだろうか。

しかし1年という時間は運転量とは別に非常に重要で、毎日比較的運転量が多い者でも1年未満の場合、初心者レベルから脱することは難しい。特に男性に多いのだが、最初の3ヶ月あたりまでは不慣れであることを自覚しているために運転は非常に慎重であっても、3ヶ月から1年までの間は、中途半端に慣れという甘えが増幅され、細かい衝突を含めた事故の発生確率が極め て高くなる。

私も1年未満のうちに車庫入れなどで3回ほど車をぶつけた経験がある。他人との衝突事故も起こした。当時、自分は別だと根拠もない自信家でも外から見れば未熟であるのは変わりない。そのために1年という期間、強制的に初心者マークを表示しなければならないと法律は、本人のプライド云々関係なく必要な制度なのである。

一方、運転には個人差があっても、70歳を超えてくると本人が気づかないうちに反射的な動作の衰えが始まる。60歳代の頃までは肉体的衰えがあっても、自動車の運転に対する反応レベルはさほど20代後半の頃とは変わらない。ところが70歳を超えると反射的動作と判断速度の衰えが徐々に現れる。個人差はあるが特に75歳を超えると、60代の頃まで人一倍運転がうまい人でも確実に目に見えて運転能力が衰える。このことは本人の自覚と無関係でやってくる。

このほど、閣議決定で高齢者マークの75歳以上の表示義務化が撤廃、努力義務へとトーンダウンした。理由は「お年寄りの反発」とするが、そのウラには後期高齢者医療制度の問題も見え隠れするとか。なんともお粗末な理由だ。

初心者マークも高齢者マークも道路上の安全確保ために必要な措置である。周辺を走行するドライバーに注意を促すのと同時に道路上でのトラブルを回避するためにも非常に有効である。該当する高齢者の方たちからしてみればプライドが許さないと思う人もいるし、自分は運転能力が衰えていないと思い込んでいる人も相当数いる だろう。

運転に対する能力の衰えは、通常の運動能力と違って衰え開始年齢が70歳以降と遅いこともあいまって本人の自覚が生まれない大きな理由となっている。ただ本人のプライドとは別に明らかに衰えが出るのは統計上事実であり、特に75歳を超えると誰の目に見ても危険ドライバーになることをいわば強制的に自覚させなければならない。

4割近い75歳以上の高齢者の方は高齢者マークを付けたがらないそうだ。高齢者のレッテルを表示するのが嫌ということなのだろう。ならば枯葉のようなデザインを全面的に見直しして、優先車であるクリーンなイメージ のマークにデザイン改変などの方策もあるのではないだろうか。せっかく高齢者講習制度を義務化したのだから、高齢者マークの義務化も断行すべきである。

(C) Copyright 1997-2009 by RJQ.JP All Rights Reserved