県平和資料館(東松山市)が07年11月、常設展示の年表中にある「従軍慰安婦」の表記を「慰安婦」に変更したことを巡り、元に戻すよう求める市民団体が1日、韓国人の元従軍慰安婦、李容洙(イヨンス)さん(80)を招き、宍戸信敏館長らと面会させた。李さんは「『従軍』なしでは強制された事実が伝わらない」と訴えたが、宍戸館長は「検討した結果。変えるつもりはない」と述べた。
李さんによると、李さんは15歳だった1944年秋、現在の韓国・大邱市内から日本軍に連行され、45年から台湾の新竹慰安所で働かされた。46年に帰国したが、今も心身の傷は癒えず、結婚もできなかった。李さんは「生き証人の私がここに居る。強制されたことを信じて表記を戻してほしい」と求めた。
これに対し、宍戸館長は「李さんのつらい体験を否定していないが、館のことは我々が相談して決める。要望は館の運営協議会に伝える」とした。
李さんは「自国の未来を思うなら歴史の誤りを直すはず。日本の未来が心配だ」と館の対応を批判した。【稲田佳代】
毎日新聞 2009年3月2日 地方版