やっぱり「うつ」はなくならない
株式会社ENNA 代表取締役
「うつ」による休職や退職後のカウンセリングの時に必ずと言っていいほどご家族やご友人から聞かされるフレーズがあります。
「なんで、もっと早く気づいてあげられなかったのだろう…」
そして、いつもこのように回答しています。
「いや、あなた方は皆さん気づいていたと思うんですね。気づいていたのですが、休むようにと話すことが、本人のプライドを傷つけるものだと感じていて、声を掛けることを躊躇(ためら)っていただけでしょう。そして、その躊躇いが、本人が身体が動かなくなる直前までは、現実的な対応だったことも事実です。」
もう少し現実的に考えてみると「うつ」による離職期間が長いと再就職が困難になります。働き方を変えることで社会復帰は十分にできるのですが、会社員に戻ることにこだわる方も少なくありません。
また、企業内で休職している場合は、再就職にはあまり影響はありませんので、不調であれば休職を優先させて、安易な退職はしないようにして頂ければと思います。まだまだあからさまに退職を要求する会社も少なくはないのですが…。
また、うつ状態の最も面倒なところは、「本人は気づかず」「他人は過剰に気を遣う」という点。
日ごろ接していても、どのタイミングで急激に悪化するのかが判断できませんから、他人のフリをしている間に色々なものが崩れていくような結果になります。
さて、もう少し踏み込んで考えてみると、働いている人が「うつ状態」になる場合はいくつかのケースがありますが、そのいずれもが、その会社で働いていた又はリストラされたことによって発症するということです。
本人と職場(の人間関係)のどちらかに過失があるというものではなく、ミスマッチの状態を放置していることに問題があるのです。その環境にいなければ「うつ」にはならなかったと言えるものです。そして、誰でもなりうるとも言えます。
職場に必要なことは、業務の妨げにならない程度の雑談ではないかと思うのもここにあります。
IT分野で40~50万人の雇用創出というニュースも出ていますが、IT業界では30%以上がうつ状態というレポートもありますから、15万人程度のうつ病予備軍が生み出されるのか…と違った見方もしています。
昨年は、ご家族やご友人からのカウンセリング依頼の直後に、本人自ら命を絶つケースに出会うことも少なくはありませんでした。本当にギリギリの状態でご相談を頂くことになったのだと思うのですが、これも「もう少し早ければ…」といった蟠りだけが残ることになります。そして今残された家族は「何ができたのだろうか…」と思い悩む日々を送っているわけです。
シリーズ: mental
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