去年亡くなった世界的ファッションデザイナー、イブ・サンローラン氏が集めた美術品の一大オークションが、フランスのパリで始まりました。早くも43億円で落札された絵画が出る一方、一部の作品については中国が返還を求めるなど、注目されています。
出品カタログの重さは何と10キロ。故イブ・サンローラン氏の700点もの作品がオークションを前に公開されていますが、このうち2点の彫刻が、国際的な論争を巻き起こしています。
マティスなど印象派の絵画から古代ローマの彫刻まで、去年亡くなったサンローラン氏の膨大なコレクションの3日間に及ぶオークションが、日本時間の24日未明に始まりました。
氏の長年の共同オーナーが、「作品に新しい旅をさせたい」として決断した異例のイベント。収益はエイズ撲滅などに充てるということですが、主催のクリスティーズ社では、総売上300億円以上と予想しています。
「出品700点以上、売り上げが推定3億ユーロ(=360億円)。間違いなく『世紀のオークション』ですね」
「素晴しい。全て趣味よく選ばれた作品で、本当に幸せのひと言です」(公開展示を見た人)
このうち19世紀、アヘン戦争中に中国から略奪された十二支の干支のブロンズ像2点について、中国の弁護士グループが、「所有権は中国にある」として競売の差し止めを求めていましたが、パリの裁判所は23日、申し立てを却下。ブロンズ像は予定通り25日に競売される事になり、1点10億円とも言われる落札価格にも注目が集まりそうです。
なお、サンローラン氏の共同オーナーは、「中国が人権を尊重するなら喜んで寄贈する」と、挑発的な発言で波紋を広げていました。(24日09:31)