2008年 6月24日(火) 9時7分
ハドソン 石塚通弘社長に聞く
ハドソン <4822> は19日に石塚通弘副社長が社長に就任した。遠藤英俊前社長の下で再建を果たした矢先のトップ交代だ。新生ハドソンが今後、いかに成長していくのか。石塚新社長を直撃した。
――社長就任の抱負を。
「遠藤がかじを取り、3年半をかけて負の遺産を整理し、収益体質に変えた。今後は新たな試みを積極的に行い、一層の飛躍を目指す」
――09年3月期、ハドソンが密着する任天堂 <7974> ゲーム機用ソフトの市場はどうなるのか。
「『ニンテンドーDS』用ソフトは過当競争が進む。既にタイトル数が多く、ヒット作が生まれにくくなっているからだ。ただ据え置きゲーム機『Wii(ウィー)』用のソフトは任天堂以外のメーカーのタイトルが盛り上がり、08年の年末商戦で一つのピークを迎えるだろう」
――09年3月期の戦略上のポイントは。
「家庭用ゲームの事業はWiiとDS用ソフトが軸。ただ、在庫リスクがなく高利益率のダウンロードゲームは機種を問わず積極的に手掛ける。ソニー <6758> の『プレイステーション3(PS3)』用にパッケージゲームを開発することはないが、ダウンロードゲームの供給先としては魅力的。ダウンロードには気軽に遊べる内容が向き、当社の持ち味が生かせる」
「目玉は年末年始に発売予定の『桃太郎電鉄20周年』(DS用)だ。また新たなオリジナルタイトルの創出にも注力しており、職業の疑似体験ゲーム集『ハタラクヒト(仮称)』を年末に発売する。10月の東京ゲームショウでアピールするつもりだ」
――PS3にパッケージソフトを出さない理由は。
「PS3に求められる美麗な映像のゲームを作るためには、多額の開発費を投じる必要がある。大手との競争で疲弊するリスクが大きい」
――09年3月期は前期に比べ利益成長が鈍る計画だ。
「家庭用ゲーム事業で、前期は任天堂ブランドのタイトル(『マリオパーティー』シリーズの新作)のロイヤルティー収入が大きかった。09年3月期は任天堂からの受託開発タイトルがなく、家庭用ゲーム事業単独では増収減益になる。ただ、ネットワーク・コンテンツ(携帯電話向けゲーム・音楽)事業は増収増益見込み。先行投資で音楽の原盤獲得を進めたことが効く。1曲丸ごと配信する流れがライセンス料の支払い増と利益率低下を招いていたが、原盤獲得で解消される」
――2010年3月期以降の構想は。
「任天堂ゲーム機の普及はピークを過ぎるが、引き続き高シェアを維持できるとみている。ただ大きな流れとして音楽と同様、ゲーム業界もパッケージからダウンロードへのシフトが加速するとみており、うまく流れに乗りたいと考えている」
[ 株式新聞速報ニュース/KABDAS−EXPRESS ]
提供:モーニングスター社