「もうけ過ぎ」と指摘されている財団法人・日本漢字能力検定協会(京都市)が昨年12月、2億円を拠出して、全国に数多くある検定の信頼性を評価する財団法人を設立していたことがわかった。代表には協会の大久保昇理事長が就任。準備段階では、息子の副理事長側が献金している参院議員とともに文部科学相に要望活動をしていた。協会関係者は「検定業界の主導権を握る狙いから新財団を設立した」と話している。
漢検協会が設立した財団法人は、「資格標準化機構」(東京都千代田区)。団体や自治体が実施する検定・資格試験が2千とも3千とも言われるほど増えているのを踏まえ、それぞれの信頼性や内容を第三者の視点で評価し、検定実施団体に情報提供することなどを目的に掲げている。基本財産と運営資金の計2億円を協会が出し、協会の大久保昇理事長が代表理事、息子で協会副理事長の浩氏が理事に就いている。
機構の関係者は「日本最多の受検者数をもつ漢検協会の決済・申し込み業務などのノウハウを、機構を通じて、他の検定団体に提供することも検討している」と話す。また、協会の関係者は「機構の『格付け』が他の検定の人気や受検者数に影響するようになれば、漢検協会が他の検定団体を間接的に支配することになる」と機構設立の狙いを説明する。
各種検定の信頼性確保については、国の中央教育審議会が昨年2月、「民間事業者による第三者評価機関が考えられ、国による評価ガイドラインなどの支援策が必要」と答申。文科省は同5月、「検定試験の評価の在り方に関する有識者会議」を立ち上げ、具体的な検討を進めている。