漢検協会はこうした動きに先立って機構の設立準備に動き、関係者によると、副理事長の浩氏が昨年1月中旬、渡海紀三朗・文部科学相(当時)と面談。設立をめざす資格標準化機構について「国の指定機関にするなど、法制度の中で位置づけてほしい」と要望した。この場には民主党の福山哲郎参院議員(京都選挙区)も同席、「検定の資質を上げる仕組みが必要だ」などと意見を述べた。ただ、渡海氏は「(国の指定などは)難しい」と答えたという。
政治資金収支報告書などによると、浩氏が代表を務める情報処理会社「日本統計事務センター」(京都市)は03〜07年、福山氏が代表を務める民主党京都府参議院選挙区第2総支部に約450万円を寄付。浩氏も個人名義で、04年に同支部へ100万円、05年には福山哲郎後援会へ50万円を寄付している。同センターは06〜08年度に、漢字検定の採点や受検料決済など計約31億5千万円分の業務を協会から委託されている。
福山氏は朝日新聞の取材に対し、浩氏とは知人の紹介で98年ごろに知り合ったと説明。文科相への要望活動については「各種検定の資質を上げ、評価できる仕組みが必要との認識があり、文科相にその旨を伝えた」と答えた。浩氏側からの献金については「政治資金収支報告書に記載の通り、適切に処理している。返還については(協会の)実態解明を踏まえて検討したい」としている。
協会の広報担当は「内部調査を最優先しており、取材に応じることが難しい状況にある」とコメントした。(山岸一生、小林未来)