ブログで紹介したいような良いモノでも、供給が限定されているようなモノは「紹介して競争率が上がって、自分が利用できなくなるのが心配だから紹介しないでおこう」と思って紹介しなかったことがあるブロガーさんは少なくないはず。
多分、「UR賃貸住宅」もその一つなのではないでしょうか。
というか僕がURの良さを外で語りつつ「でも自分もURを利用しているので、競争率が上がるから紹介したくないんですよー」とヌルいこと言っていたら「書くべきだろ常考」と責めたてられたので泣く泣くこの記事を書いています。どうもありがとう...!
泣く泣くとはいいつつ、書くからには惜しみなく紹介しますよ!
UR賃貸住宅とは
UR賃貸住宅とは、「都市再生機構」という独立行政法人が運営する賃貸マンションです。都市再生機構についてはWikipediaの都市再生機構の項目によると、以下の通り。
都市再生機構(としさいせいきこう)とは、大都市や地方中心都市における市街地の整備改善や賃貸住宅の供給支援、UR賃貸住宅(旧公団住宅)の管理を主な目的とした独立行政法人である。略称は都市機構またはUR、愛称はUR都市機構。
かんたんにいうと「昔でいう公団住宅で、国が経営するオトクな賃貸マンション」ってことです。
抽選ではなく、先着である
ここがこの記事を書く最大の理由となったのですが、あまりにも「UR賃貸住宅を借りるには、抽選に当たるのを待つしかないんじゃないの?」と思いこんでいる人が多いこと!先着であることを知っていた人は10人に1人いたかどうかでした。
ちなみにURの先着というのは、「申し込んだ順」ではありません。どういうことかというと、空きが出たらその日のうちに営業所に行き、先に仮予約を申し込んだ人に、1週間の猶予とともに契約する権利が与えられるという制度です。リアル早押しゲームですね。
なので、時間の自由ある人やフットワークが軽い人ほど、借りやすいといえるでしょう。僕の場合、前の職場の隣のビルに営業所があったため、かなり有利でした。
追記 (2008-03-02):なお、新築やリニューアル物件で、大量募集があるときは抽選になることがあるそうです。(はてなブックマーク id:ululun 氏より。)
仮申し込みから1週間の猶予とは
1週間の猶予というのは、内覧可能な日から1週間です。即座に内覧可能な部屋なら、仮申し込みをした日から1週間になります。その間に内覧をして、これでよしということになれば、契約することになります。
まだ住んでいる人がいる部屋の場合は、退去・クリーニング後に内覧となります。この場合は、仮申し込みした日は関係なく、内覧可能な日から1週間になります。
なお、実際の入居日の設定は契約した日から1~3週間後で、それ以上は相談に応じてということでした。
ちなみに仮申し込みに費用はかかりません。契約しなかった場合のペナルティもありません。ただ一点、仮申し込み中は他の物件の仮申し込みはできないということだけが制限事項です。
というわけで、抽選制ではなく先着制であることで、借りることが現実的であることがわかったと思います。あとは良く知られていることもありますが、UR賃宅住宅の基本的なメリットについて紹介します。
最強な点1 : 高品質で、割安な家賃である
まあ元々は公団住宅ですから、よく知られているように、家賃が安いです。ただ、新しい物件については「絶対的な家賃が安い」というわけではなく、高品質なわりには割安といった「相対的に安い」感じになっています。感覚としては、同じ条件だと民間よりも1~2割安い感じです。なので「ちょっといい部屋に住みたいけど、民間は高い」といった人にオススメです。
また、1つの間取りが大きいのも特徴で、平米数のわりには間取り数が少ない(=1部屋が広い)物件が多く存在します。この特徴は、「快適な住戸を提供する」というURの目的に沿ったもので、民間に多くみられる「利益を最大化するために、かなり狭くなってでも部屋を多くする」という流れに反するものになっています。
民間で大きな間取りの部屋を探そうとすると、どうしても高級よりのマンションになってしまうため、庶民にはありがたい方針です。
最強な点2 : 礼金・仲介手数料・更新料・保証人不要!
URは、民間の賃貸住宅でいう「礼金・仲介手数料・更新料」の類の費用は必要ありません。保証人も不要です。
普通、不動産屋さんを通すと、最初に家賃の他に「家賃の1~2ヶ月ぶんの礼金」「家賃の0.5ヶ月分仲介手数料」がかかります。最近は礼金が不要な物件もよく見かけますが、キャンペーン的なものに留まっています。礼金がゼロでも、仲介手数料は必要です。礼金と仲介手数料をあわせると家賃の2.5ヶ月分が最初に上乗せされるので、家賃が安くても「え!最初にこんなに払わなければならないの!」と毎回思い知らされます。
あと更新料というのは、賃貸には契約の更新が必要で、民間だと2年ごとのに家賃の0.5ヶ月分を払ことが多いです。8万の部屋なら4万円です。ちょっとバカにならない金額なので、更新にあわせて引っ越しを真剣に検討する人は多いです。
敷金は必要
ただし敷金だけは必要で、現在は「家賃の3ヶ月分」となっています。民間だと1~2ヶ月の所が多いので、敷金に関してはちょっと多めです。
といっても礼金や仲介手数料もあわせて考えるならば、最初に必要な資金はトントンかURの方が安い程度になります。そして、敷金は退去時の費用のためやもしものときの保証金のようなものなので、支払ったとしても基本的には自分のお金です。何事もなければ、退去時の清掃費用としてあてられてほとんどが戻ってくるので、礼金や仲介手数料とは別物です。
まあ、保証人が不要ですから敷金は3ヶ月ぶんくらいは必要でしょう。保証人の準備とか、けっこう面倒なものです。3ヶ月分の敷金があることでUR側のリスクが低くなり、そのぶん家賃が安くなっていると思えば、妥当ではないでしょうか。
ちなみに最近の不況に対応するためなのか、特定の物件に限って、敷金の分割支払いキャンペーンが行われているようです。
追記 (2009-03-02):「家賃基準で、一定額の所得証明か、定年後などで所得が無い場合は現金貯金が必要」という条件があります。まあ、所得に見合った部屋であれば問題ない基準だと思われます。サラリーマンなら勤務先に前年の源泉徴収票を発行してもらうか、今後1年のみなし所得を書いてもらえばOKです。(はてなブックマーク id:pen_pen_gusa 氏より)
最強な点3 : 営業センターの環境と対応がすばらしい
「お前は何を言っているんだ」といわれかねない点ですが、ここ、引越しの繁忙期には重要なポイントです。というのも、繁忙期の民間の不動産屋さんというのは想像を絶するほど忙しそうで、店舗での対応の質が極端に下がると思うからです。
実際、僕が内覧しようと思って民間の不動産屋さんの店頭に出かけていったとき、担当者は3,4件を平行して対応していて「鍵を受け取りにいくまで、ちょっと待ってください」と言われてそののまま1時間半待ったけどいっこうに鍵が来なかったことがありました。たまたま対応が悪かっただけかもしれませんが、店頭はかなり狭くて電話の音が鳴り止まず、かなり疲れました。
1時間半たっても鍵が来なかったので、「鍵が来たらケータイに連絡してください」と告げてURに出向きました。
URの営業センターに着くと、すぐにお茶が出てきて、ちゃんと担当者がついて広い空間でゆったり対応してくれました。この営業センターは団地内の一室で運営されており、そのままその団地内の空室を2件内覧し、希望の条件を伝えて帰りました。快適でしたね...。
たまたまお客さんが少なかっただけかもしれませんが、URは扱っている物件が自前で、鍵も全て営業センターで管理されているので、繁忙期だからといって対応が疎かになることは無いと思われます。
空室の探し方は「まず営業センターに行き、毎日電話する」
家賃が安く、手数料がかからず、対応も良好となれば人気は必至。空室を見つけるのは基本的に困難です。リピーター(URから別のURへ移り住む人)もかなり多いらしいです。
空室はURのサイトからも探せるようですが、サイトの情報だけではかなり不利なようです。なぜかというところは詳しくはわかりませんが、営業センターの担当者から「毎日、朝一番に、電話で確認するのが最良の方法です」と説明されたので、信用に値すると思います。たぶん、何らかの条件で情報が載らなかったり、更新が遅かったりするのでしょう。
ちなみにUR賃貸住宅に本気で住んでみたいと思ったら、まずは最寄りの営業センターに行ってください。住みたい団地と部屋の条件を告げれば、営業センターの方の協力により、条件に合う部屋が空いたときに連絡が来るようになります。
ただし連絡の早さなどは保証されていませんので、基本的にはこちらから電話をかけて「どこそこの団地で、この間取りの空き室はありますか」と問い合わせることになります。ちょっと面倒ですが、先着制は「努力したもん勝ち」なので、がんばった人ほど報われます。
引越し時期に余裕があるなら、検討価値アリ!
なかなか空きが出ないので、引越し時期に余裕が無い人にはおすすめできませんが、余裕があって同じ地域での住み替えを検討している方なんかは検討する価値はかなりあると思いますよ!
TIPS箇条書き (思い立ったら追記)
- 僕のUR経験値は東京都内だけ。なので、地方の事情はまた別かも。
- 築年数が経っても家賃がなかなか下がらないので、新しい物件のほうがオトク。ただし人気は必至。
- 新しい物件のほうがオトクなので、ときどきURからURに住み替える人は少なくない。
- 旧公団時代から、耐震強度がやたら強い。阪神大震災では全壊した建物は無かった。ただ、強い耐震強度のためか部屋の中に柱や出っ張りがちょっと多い。
- 退去費用は、5年住んだ部屋の平均で3万4000円とのこと。部屋の広さにもよるけど妥当な金額かな。
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