DV被害者救済へ民間施設 吉野川市の事件を教訓に 2008/12/18 15:25
夫や恋人からの暴力(ドメスティック・バイオレンス=DV)に苦しむ女性をサポートする徳島県内の支援者が集まり、被害者が自立するまでの期間入所できるステップハウスを開設した。二〇〇六年十二月二十一日に吉野川市で起きたDV殺人事件の悲劇を教訓に、被害者を保護し自立をサポートするのが目的。県内で民間のステップハウスが開設されるのは初めて。
運営するのは、弁護士やフェミニストカウンセラーらでつくる市民グループ「エンゼルランプ」。被害者の安全を考え、設置場所や利用可能人数は公表していない。DV被害に遭った女性や子どもが精神面で安定を取り戻しながら生活できるように配慮、外出や自炊も認めている。
居住期間は設けず、メンバーは精神的ケアや法律相談、警察や裁判所への同行など自立に向けた支援を行う。費用は大人一日二千円、十歳以上の子ども千円だが、生活困窮者は相談に応じる。三月末までに利用方法や連絡先などを書いたカードを作り、行政の相談窓口や支援団体で配る。
開設のきっかけは、二年前に起きた吉野川市のDV殺人事件。DV防止法に基づく接近禁止命令が出ていたにもかかわらず、凶行を防げなかったことに支援団体の関係者らは衝撃を受けた。その後、民間の立場でどのような支援ができるかを考え、被害者の一周忌となった昨年十二月二十一日、関係者らが準備会を発足させた。
エンゼルランプの花言葉は「あなたを守りたい」。DV撲滅を誓うメンバーの切実な願いがグループ名に込められている。
県内では県女性支援センターが〇六年度からステップハウスを開設しているが、グループでは被害者のさまざまな要望に応えるための新たな選択肢にしたい考え。受け入れ体制を拡充するため、個人や企業会員からの寄付、物資提供を呼び掛けている。
メンバーの上地大三郎弁護士は「暴力のない社会をつくるためにも、県民一人一人の力が必要。幅広い支援をお願いしたい」と話している。
支援の問い合わせは<電080(3925)2697、080(3925)2663>。寄付の振込先は郵便振替口座番号「01610-2-39782」、名義は「エンゼルランプ」。【写真説明】DV撲滅の願いを込め、グループ名に付けたエンゼルランプの苗