よく見かける、以下のコピペ。
交渉の為に隣国から使者が来て、
もしその者が有能ならば何一つ与えず返せ。
交渉の為に隣国から使者が来て、
もしその者が無能ならば大いに与え、歓待せよ。
そうすれば、隣国では無能な者が重用され、有能な者が失脚する。
そしてやがては滅ぶ
これは「六韜」と言われる中国の兵法書の中の一節です。
「六韜」は、あの太公望が作者で、「孫子の兵法」と並び称される中国の兵法書。ついでに言えば「虎の巻」の語源となった兵法書だそうです。
謀略ばかりが詰まったえげつない書物(笑)らしいのですが、この中に、「文伐」という相手国を自滅させる策があります。戦わないで、つまり外交や謀略などで敵国をやっつける方法。冒頭のコピペは、その中の一つということです。
ところで、この言葉ばかりがコピペされていて良くわからなかったので、ちょっと調べてみました。
Web漢文大系より
六韜:文伐第十五(Web漢文大系)
五曰、嚴其忠臣、而薄其賂、稽留其使、勿聽其事。亟爲置代、遺以誠事、親而信之、其君將復合之。苟能嚴之、國乃可謀。
五に曰く、その忠臣を厳(げん)にして、その賂(まいな)いを薄くし、その使いを稽留(けいりゅう)して、その事(こと)を聴くなかれ。亟(すみや)かに代わりを置くことをなさしめ、遺(おく)るに誠事(せいじ)をもってし、親しみてこれを信ぜば、その君まさにまたこれに合(あ)わんとす。苟(いやしく)もよくこれを厳(げん)にせば、国すなわち謀(はか)るべし。
・・・なるほど。
とか理解できるわけもなく、解説したものを探しました。
(勉強してる人って偉いなぁ)
文伐より
第五の方法としては、相手国の忠義の臣下を敬って、相手国への賄賂を少なくします。忠義の臣下が使者としてやって来たら、長く引き止めて、謁見しないようにします。交代の使者が来たら、忠義の臣下を帰さないで国内にとめおいたうえで、誠意をもって交代の使者に応対し、友好関係を築くようにします。すると、相手国の君主は、忠義の臣下よりも交代の使者のほうを頼りにするようになります。こうすれば、相手国を謀略にはめることができます。
なるほど。これで上のコピペに繋がるわけですね。スッキリ。
ついでに、この「文伐」について超簡単にまとめたサイトを発見。
中国歴史奇貨居くべしというHPの中の六韜より
(↑すいませんが、どういう意味なのかわかりません)
【第十五 文伐篇】
文王が呂尚にたずねた。
文王「武力を使わないで目的を達するには、どうすればよいか」
呂尚「それには次の12の方法が考えられます。
第一は、相手の欲するままに要求を聞き入れてやれば、やがて驕りの心が生じ、必ずや墓穴を掘るようなことをしでかします。
第二は、敵国の寵臣を手なずけて、君主と権力を二分させるのです。
第三は、側近の者に賄賂を贈って、しっかりとかれらの心をとらえるのです。
第四は、相手国の君主に珠玉を贈り美人を献じ、女に溺れて政治を忘れるように仕向けたうえ、下手に出て、相手の言いなりになって調子を合わせるのです。
第五は、相手国の忠臣を厚遇し、君主への贈物は減らして、相手の結束に楔を打ち込むのです。
第六は、相手国の内臣を懐柔し、外臣を離間するのです。
第七は、相手国の野心を封じこめるために、厚く賄賂を贈って寵臣を買収し、利益で釣って職責を怠るように仕向けるのです。
第八は、相手国の君主に重宝を贈って、わが方を信頼するようにさせ、わが方に協力させるように仕向けるのです。
第九は、相手国の君主を褒め上げていい気持ちにさせ、手も足も出ないふりをして安心させ、政治を怠るように仕向けます。
第十は、謙虚な態度で相手国の君主に仕えて心をつかみ、頼りになる味方だと思わせるのです。
第十一は、相手国の有能な臣下に、内密に高い地位を約束し、重宝を贈って手なずけ、わが方に肩入れする人間を増やすのです。
第十二は、相手国の乱臣を手なずけて君主の心を惑わし、美女や歌舞団を送って関心をそちらに向けさせるのです。
以上の12の策をすべて試みてから武力を行使するのです。つまり、天の時、地の利を考え、これなら勝てると見極めてから、はじめて軍事行動を起すのです」
最初に書いた一説は、第五の方法を解釈したものの様です。(これだけだとピンときませんが、上に書いた通りです。)
引用はしませんが、この「六韜」は、昔も今も中国トップの必読本で、それこそ暗記する程頭に叩き込むと書いていたサイトもありました。まあ、改めて書かなくても、現状を見れば誰でもそう思うでしょうが。外交官自殺事件とか、アフリカ諸国への中国の進出の仕方とか見ているとね。
第五だけじゃなくて、複数の作戦にやられちゃってる政治家も多そうですね。ノコノコ中国詣でする様な連中のこと。
「六韜」はえげつないと書きましたが、外交ってのはえげつないものです。政治家も官僚も、それを忘れてる奴が多すぎるんじゃないですかね?
やはり外交では、(人を食ちゃうかの国の人)には、負けちゃうでしょうね〜。(笑
わが国は、お上品なので、もともとえげつない事はにがてで、特に美女などあてがわれると、手放しで手なずけられます。特に自他共に秀才と思っている方に顕著な傾向の様ですね。
まあ、策を弄さず堂々とわたり会う以外にないでしょう。(芸達者を期待しても無理ですって””)−@−;。。。。