俊輔ハット！オシム監督見たか…スコットランド・プレミアリーグ

　◆スコットランド・プレミアリーグ　ダンディーＵ１―４セルティック（１４日、タナディス・パーク）　【ダンディー（英国）１４日】オシム監督見てくれましたか！　セルティックのＭＦ中村俊輔（２８）は１４日、アウエーのダンディーＵ戦で海外リーグ戦初のハットトリックを決め４―１で逆転勝ち、チーム６連勝に貢献した。開幕から１０戦連続先発出場した中村は、横浜Ｍ時代の１９９８年１１月１４日、対平塚戦以来、海外で達成した日本人としては２００２年８月のＭＦ稲本潤一（当時フラム）以来のハットを完成した。得点不足に悩むオシム・ジャパンに、強烈な印象を与えた。

　まさに起死回生のハットトリックだった。０―１の前半４４分。前節１１位の格下・ダンディーＵに先制され、俊輔もボールを奪われて逆襲を食らうなど、ふがいないプレーを連発。前半だけで交代か！？という暗雲が漂った時だった。ゴール前左のＦＷフェネホールオフヘセリンクからのボールを中央で受けた俊輔が、ＭＦヤロシクとのパス交換から左足で流し込んで同点ゴール。開幕戦の７月２９日、キルマーノック戦以来、リーグ９試合ぶりの今季２得点目でいきなり流れを変えた。

　それだけでは終わらず、逆襲を先導した。１―１の後半３分、中央右から左足で逆転ゴール。３―１で迎えた同１３分には、左足でゴール左隅へ決めた。横浜Ｍ時代の９８年１１月１４日（対平塚戦）以来約８年ぶり、プロ生活２回目のハットトリック。初ハットの時は得意の直接ＦＫが１本あったが、「今日はＦＫがなかったからね。２点目が一番良かった」と笑顔を見せた。

　「最初のゴールはヤン（フェネホールオフヘセリンク）が前線に上がっただろうなと予測してゴールに走り込んだから簡単に入ったでしょ。そういう予測からの得点がうれしいし、勉強になった」と俊輔。無駄走りになろうとも、繰り返し、ＤＦの裏へ走り続けた努力が実ったことに胸を張った。

　前節１日のファルカーク戦出場後、国際Ａマッチデーによるオフを利用し、日本へ一時帰国。「来年春まで帰れないから正月気分で楽しんだよ」と、１週間、リフレッシュ。１７日の欧州ＣＬ、対ベンフィカ（ポルトガル）戦との連戦へ向け、「今日は流れの中でボールの取られ方が悪かった。そっちの方を頭に残して次にね」と気を引き締めた。

　日本代表への海外組招集は来年以降の見込みだが、リーグ戦で９０分出場した直後に筋トレを積み「走るサッカー」を実践する肉体改造を敢行中。この日はＪリーグの視察を“休んだ”日本代表イビチャ・オシム監督（６５）は、自宅でテレビで観戦した模様。俊輔が放ったこの３発は、指揮官へ強烈なアピールになったはずだ。

　◆日本人選手の欧州でのハットトリック　０２年８月２７日、ＵＥＦＡ主催のインタートト杯で、当時フラムに所属していたＭＦ稲本潤一が、イタリアのボローニャ戦で達成。チームをＵＥＦＡ杯に導き日本人初の快挙を達成。２得点は９８年９月にＭＦ中田英寿が、イタリア・ペルージャでのデビュー戦となった対ユベントス戦で衝撃弾。カズことＦＷ三浦知良は昨年１１月にレンタル移籍したシドニーＦＣ（オーストラリア、対アデレード）で、ＦＷ大久保嘉人（マジョルカ）は０５年５月のラコルーニャ戦でそれぞれ決めている。

　◆中村のハットトリック　プロになってから今回が２回目。前回は横浜Ｍ所属時の９８年１１月１４日の平塚（現湘南）戦（ホーム）で達成した。１―１で迎えた後半８分に左足で直接ＦＫを決めると、同点に追いつかれた１０分後の同２２分にＭＦバルディビエソのアシストから左足で追加点。終了６分前にも再びバルディビエソのアシストから左足でダメ押し点を決め、４―２の勝利に貢献した。

（2006年10月15日06時05分  スポーツ報知）