基礎年金番号に未統合の「宙に浮いた年金記録」約5000万件のうち、昨年12月時点でも、全体の3分の1にあたる約1742万件が未解明のまま残っていることが28日、社会保険庁の調べで分かった。記録確認を促す「ねんきん特別便」の発送が始まった平成19年12月時点に比べ、未解明は約703万件減ったが、手掛かりのつかめていない記録がそのうちの7割、1209万件もあり、今後の特定作業は困難を極めそうだ。
調査結果では、特別便などで基礎年金番号に結びついた記録は約910万件で年間600万件の統合が進んだ計算だ。記録の持ち主が死亡していたケースも当初集計より273万件増え633万件となった。
ただ、こうした記録統合まで完了するなどした「解明済み記録」は全体の49.7%にすぎない。
住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)のデータと社保庁のオンライン記録とを照合するなどの特定作業を進めた結果、生存者の記録である可能性が高いことが判明した記録は533万件(別表のIII(1)〜(3)の合計)あるが、持ち主特定にいたっていない。
それに加えて、氏名や生年月日を誤入力され、解明が進まない記録も全体の23.7%にあたる1209万件残る。社保庁側の作業だけでは難しく、特別便をきっかけに本人が申告しなければそのままとなりそう。
社保庁は特別便への回答に期待を寄せるが、回答率は昨年12月26日時点で全体の63%。基礎年金番号と結び付く可能性の高い人では293万人が未回答で、転居などで特別便が届かない人も47万6000人いた。
社保庁は4月から標準報酬月額(月収)を記載した「ねんきん定期便」を送るが、これも国民の側から回答がなければ動きようがないのが現状だ。
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