岩手・川井女性殺害 癒えぬ心 続く怒り
昌宏さんが梢さんを最後に見たのは昨年6月下旬。登米市内の知人宅に泊まり込み仕事を探していた梢さんにお金を貸した。「無駄遣いすんなよ」。まな娘への最後の言葉になった。 次に顔を合わせたのは7月3日、宮古署の遺体安置所だった。梢さんは解剖のため頭髪がそられ、苦しそうな表情をしていたという。「何も考えられなかった」 「犯人が捕まったとしても死刑以外は受け入れられない。梢は帰らない…」と言葉を詰まらせた。 小原容疑者が梢さんと事件直前まで一緒にいたことは、音信不通となって間もなく知った。「できるなら、すべてを投げ捨てて(小原容疑者を捜しに)全国を回りたいんです」と昌宏さん。 わずかな救いもあった。梢さんの誕生日の1月16日、中学、高校時代の同級生たちが誕生ケーキを持ってきてくれた。18本のろうそく。ケーキを仏壇に供え、「梢は愛されてたんだな」とうれしくなった。 事件発生当初、インターネットや一部メディアで梢さんの人格を傷つけるような情報が流れた。その影響だろうか、「(梢さんが)死んで当たり前のような陰口も聞こえてくる」という。「顔も知らない人に何の権利があって批判されなくちゃいけないんだ。よく手料理を作ってくれた優しい子だった」と力を込めて反論する。 癒えぬ心と収まらぬ怒り。複雑な感情を抱えながら、「容疑者の情報提供をお願いします」と呼び掛ける。 連絡先は岩手県警(0120)243852。
2009年03月01日日曜日
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