表紙の写真の犬が、とても悲しげで強い目をしていたので、気になって中を見た。その写真集のどの犬も、印象的な目をしていた。
飼育放棄、迷子など、さまざまな理由でシェルター(保護施設)に収容された犬を写した「シェルタードッグズ」(山と渓谷社)。米国の女性写真家、トレア・スコットさんの写真集を翻訳したものだ。モノクロの写真で、人間の都合で過酷な運命を強要される犬たちの存在に光を当て、問題を提起する。
その目は、私が実家で飼っていた犬とは違うと感じた。言葉は通じなくても、彼らが目で伝える必死のメッセージを、私たちは感じるべきだと思う。(花澤)
毎日新聞 2009年2月10日 地方版