小沢安保発言 民主党は包括的な見解を示せ
日本の防衛と日米同盟の根幹を否定しかねない発言である。民主党は、在日米軍のあり方に関する包括的な見解を明確に示すべきだ。
小沢民主党代表の在日米軍に関する発言が波紋を広げている。
小沢代表は「日本が世界戦略を持ち、もっと役割を分担すれば、米国の役割は減る」と説く。
さらに、「アジアには米国のプレゼンス(存在)は必要だが、第7艦隊で十分ではないか」としたうえ、「米軍が引くことで、日本が日本の安全保障の責任を果たしていけばいい」と語った。
自衛隊が日本防衛でより大きな役割を担えば、在日米軍の海軍以外の陸空軍、海兵隊は撤退できる。そういう趣旨だろう。
しかし、この「小沢理論」には多くの重大な欠陥がある。
そもそも在日米軍の駐留目的は、日本防衛だけでなく、極東の平和と安全の確保にもある。
アジアには、北朝鮮の核やミサイル、中国の軍備増強など不安定要因が多い。在日米軍は、朝鮮半島や台湾など日本周辺有事に対する強力な抑止力となっている。
仮に米空軍と海兵隊がいなくなれば、その軍事力の空白をどう埋めるのか。部隊はグアムでなく、沖縄に駐留してこそ、有事の即応力が維持される。米陸軍も周辺有事で後方司令部の役割を担う。
「極東の安全保障環境は甘くない。空軍、海兵隊、陸軍の役割を分かってない」。ケビン・メア駐沖縄米総領事が小沢発言を強く批判したのも、当然だろう。
日本防衛でも、米軍の攻撃・報復力を前提に、自衛隊は専守防衛に徹している。在日米軍に見合う攻撃力を保有する場合、日本の防衛政策の抜本的な見直しに加え、膨大な予算と時間を要する。
軍事面だけではない。政治的にも、在日米軍の大幅削減は、オバマ政権も支持する日米同盟の強化路線と矛盾する。民主党が政権をとり、この方針を追求したら、米国は強い不信を抱くだろう。日本外交の損失は計り知れない。
「同盟関係は一方が一方に従属するのでなく、対等であるべきだ」が小沢代表の持論だ。対等か従属かの二元論に陥り、「対等な同盟」に過度な思い入れを持つ結果が、今回の発言なのだろう。
民主党が政権獲得を目指すのなら、小沢発言を看過せず、説得力のある外交・安全保障政策をまとめる責任がある。それが、「外交・安保が民主党の最大の弱点」といった自民党の批判に対抗するための正攻法であろう。
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