【軍事情勢】殺す国 助ける国 何もできない国
2009/02/28 23:35更新
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記事本文
対海賊任務に向けた海上自衛艦のソマリア沖派遣は決まったものの、武器使用基準や新法制定に関する小田原評定に加え、遠隔地における海上警備行動発令の可否など新たな課題も浮上、大幅に遅れての船出となる。一方で、自衛艦派遣に反対する政治家ほどあがめる中国の海軍艦艇は、既に1月6日から商船護衛の実任務に就いている。しかも、海賊が最も恐れる海軍になろうとしている。国内法が幅広く適用できるからだ。「できないことずくめ」の日本と「何でもあり」の中国。装甲車・戦車で自国民をひき殺す(1989年の天安門事件)軍隊の、海賊に対するお手並み拝見といきましょう。
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記事本文の続き ■海賊と「戦う権利」
中国政府の発表では、昨年1~11月だけで中国関係船舶1265隻がソマリア沖を航行。約2割が乗っ取り(7件)を含めた海賊被害に遭っている。そうである以上、経験乏しき遠洋における指揮・補給系統の格好の演習であろうと、「実戦経験」の蓄積であろうと、空母機動艦隊創設への布石であろうと、民族主義高揚目的であろうと、正当性を持つ。わが国に対する脅威は、ここでは触れない。
「(国際社会における)義務を履行し、責任ある大国としての姿と能力を示す」
「国連安全保障理事会決議と国際法を厳格に順守。他国と協力し、救援活動にも参加する」
政府声明も、日本政府が公言できない分、頼もしい。何しろ“法的裏付け”がある。昨年12月の中国軍機関紙・解放軍報は、安保理決議や海洋航行不法行為防止条約に準拠して、中国はソマリア海賊と「戦う権利と義務」を有していると宣言している。条約では、船舶の奪取・破壊など航行の安全に対する不法行為の容疑者が刑事手続きを免れないよう、締結国にこうした行為の犯罪化と裁判権設定を義務付けている。昨年12月に採択された安保理決議第1846号では、条約締結国に条約適用を求めている。その前々回の決議第1816号(昨年6月)では、ソマリア沖海賊に対処する国は、国連事務総長にソマリア暫定政府に協力する旨を通知する必要があるとされ、日本など暫定政府未承認国の協力獲得が困難であった。ところが1846号採択により、未承認国も協力でき、拘束後に解放していた海賊への司法手続に道筋がついた。
■権限のない海自
だが、ここから先は、海賊対処に向けた実効に、日中間で大差が生じる。解放軍報は、国内外において、国民に対し罪を犯した外国人にも、加盟している国際条約に規定された犯罪にも、刑法が適用される-と明言。中国が海賊行為への司法権を有していると言い切っている。海賊の身柄拘束後、中国内での裁判・服役を想定している可能性が高い。
対海賊任務中の国々の、海賊に対する司法権は、国内法の整備状況や法解釈の柔軟性によりばらつきがある。フランスは、逮捕した海賊を本国に連行、裁判にかけた。デンマークでは、海賊を国内法廷で裁く法手続きが認められていないため釈放せざるを得ず、ドイツなどとともに国際法廷設置を国連に求めている。もっとも、ドイツの場合、独船籍襲撃や独国民殺傷に関しては国内で裁く方針だ。
一方で、デンマークやドイツなど多くの国々では国際法を受け、国内法が整っているからこそ、平時の海軍の権限として臨検ができ、武器没収や海賊拘束後の海賊船撃沈もできている。その防護対象は、他国船籍も含まれる。海自にはいずれの権限もない。
■見せかけの善事
昨年12月、中国船員30人を乗せたセントビンセント・グレナディーン籍船がソマリア沖で、重機関銃やロケット・ランチャーで武装した海賊に襲撃された。クアラルンプール所在の海賊通報センターは、船からの救難信号を受信し、海域に展開中の全海軍部隊に転送。多国籍合同任務部隊が近くを警戒中のマレーシア海軍戦闘艦に救援要請した。同艦発進のヘリコプターが海賊の高速ボートに警告射撃を実施している。
海自の場合、日本関連船舶以外の救援はご法度。海自の部隊指揮官は、問責となる可能性に腹をくくり、割り込みなどを敢行するしか、救う手だてはない。日本国憲法にはこうある。
「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」
「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」
見せかけの善事を、日本語で「偽善」という。国際治安に責任を持たねばならぬ安保理議長国(2月中)だったことより恥ずかしい現実だ。(政治部専門委員 野口裕之)
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