目に見えない資本家？
「格差」ではなく「貧困」こそが問題なのだ。貧困が解消されれば、格差は結果として縮小されるからだ。「一億総中流」現象は格差解消の結果ではなく、日本の雇用形態（古き良き？終身雇用制と年齢給）のおかげでセーフティネットが張られ、貧困がこんなにも広がらなかったからである。「格差」というコトバに惑わされては、相手の思う壺である。年収２００万円以下の非正規ワーキング・プアが、年収４００万かそこらの正社員の足を引っ張っても、何ら格差解決にはならない。労働者が内輪もめして喜ぶのは権力と資本の側である。
■派遣を禁止すれば失業率が上がる。（城）
城の言い分は、人材派遣屋の人非人奥谷禮子や折口雅博そして経団連の連中とまったく同じである。いわく「三年派遣で働かせたら正社員にしなくてはならない」という「規制」があるから、会社側は三年未満で便乗首切りをするのだ。そんな「規制」を無くしてしまえば、派遣労働者を途中リストラしないですむ。つまり企業側はトリックを使ったり偽装したりしないで、安心？して派遣を４年でも５年でも使えるから、失業率も低く抑えられる、というのだ。
これもペテン（詭弁）だ。今でさえ有期（半年とか一年とか）の契約期間中に、違法を承知で大量に派遣切りするような企業（資本）に、さらにフリーハンドを与えるような規制撤廃など、「盗人に追い銭」と言って良い。よ〜く思い出すが良い。「派遣法」改悪の時に当時「連合」の笹森委員長が、「これでは使用者側が一方的に悪用可能な変更ではないか？」と言ったら、財界代表委員が「経営者だってそんなに悪い人間ばかりじゃないよ」と言い返したのだが、結果はどうだったか…言うまでもあるまい。財界（資本）＝性悪説、残念ながらどこの国でもいつの時代もこれは真実である。
■いいですか、今や資本家などどこにもいません。もちろん資本はあります。それは我々の年金であり退職金であり貯金なんです 。（城）
この若僧、「振り込め詐欺」か「円天」の首謀者に似ていないか？「大企業の社長さんといっても雇われ人ですから、一従業員と変わりません」だとさ。こんなペテンにひっかかるのは幼稚にして無知なネトウヨぐらいのものだろうが、いや待てよ、ＴＶのワイドショーをみて、時事問題の「通」のような気持ちになっている「草の根保守」（市民ウヨ）のオヤジやオバンも、結構コロリと言いくるめられてしまうかも知れない。
マルクスが生きていた産業資本主義段階のような資本家タイプ（いかにも金持ち然とした、葉巻などくゆらせてでっぷり太った、高価なスーツを着た男）など、城に言われる迄もなく現在は、発展途上国にでも行かない限りお目にかかれない。 金融資本主義の現代では、資本家という個人の形ではなく銀行のような企業形態が資本を動かす。だから大企業の株式を安定保有しているのは、銀行や同族企業なのだ。だからといって城のように、「資本はあるが資本家はいない」というのはレトリックに過ぎない。市場において株式という形でかき集めた資本を、何にどれくらい投入して利潤をあげるか、その決定権を握っている組織や機関が、資本家個人に代わっただけのことだ。中小企業なら今でもオヤジ（社長）が資本家であり経営者である。
それにしても「年金や貯金が資本である」という城の苦しい言い分には笑ってしまった。おいおい、城よ、お前さんはゴリゴリの「新自由主義経済」の信者じゃなかったのか？ いつの間にケインズ学徒に転向したのだ？ 国民の金を資本として運用し（例えば社会インフラとしての公共事業）雇用を創出する政策はお前さんたち「市場原理主義」狂信者たちの、最も嫌うことじゃなかったのかい？ それとも「資本家」というとどうも悪いイメージがあるから、「皆さん国民や市民のお金も資本であり、それを上手に運用するファンドなどが、今や資本家にとって代わっているのですよ」と、すり替えたいのか。国民も市民もすべて資本家だ、とでも言いたいのか。
トヨタの奥田もキャノンの御手洗も、もちろん資本家ではない。経営者に過ぎない。しかし「資本（利潤を生むために投資されたモノやカネ）」の意思を代弁し実行する側であるから、労働者とはまったく相容れない立場である。もちろん貧乏なワーキング・プアなのに、会社側や企業にべったりの考えをもつ人間もいるし、逆に有島武郎のように地主の息子として生まれながら、小作人に土地をすべて与えてしまう者もいる。身分や階層や階級が、そのままその人の意識を決定してしまうわけではないが、少なくとも大企業経営者は、資本の側の忠実な執行人と言える。
ー 完 ー
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トラックバック（2）
＞■いいですか、今や資本家などどこにもいません。もちろん資本はあります。それは我々の年金であり退職金であり貯金なんです 。（城）
アホか？↑のトンデモ議論を持ち出す城氏は…。
本文中でも書かれていますが、中小零細企業、とくにそのなかでも同族企業の多くでは、資本金を出しているのは社長やその家族―いづれも役員にして株主―はまさに資本を投下して自ら働いています。もっとも古典的な資本家ですよ。そんなことも考えが及ばずに経済を語ろうとは、城氏はもしかしてお○○？
まぁ、現在では私のようなJCPの関係者は、独占資本と区別する意味合いもあるし労働者と同様に労働していることから自営業者や中小零細企業の経営者を勤労市民と呼んでいますが、資本家階級の最下層の存在であることまで否定しません。
形変えて蒸し返されるトンデモ議論は、事実にもとづいて叩かなければいけませんね。
2009/2/24(火) 午前 0:56
pen_tsuyoshiさん。はじめまして。
城繁幸君の最大の問題点は、商売繁盛の為に官僚を中心とする公務員貴族にメスを入れていない事でしょう。
(リストラ真っ只中の正社員を守らなければ、更にプレカリアートが増える事は言うまでもありませんが、城君はその事もスルーです。)
公務員給与の決定方法は｢民間準拠｣が基本原則です。城君はそれすら触れていません。
民間企業の正社員は、6割の派遣難民に対して、雇用・能力開発機構を活用や雇用促進住宅等を提供し、公務員の天下りにも貢献しているのです。
城君も公務員貴族に目を向けるべきでしょう。
また、３月までに９９７３人がリストラされる正社員の既得権益を批判する前に官民格差を是正を主張すべきでしょう。
１、５倍程の官民格差を是正させる為に(以前、公務員でバス運転手,清掃職員,学校給食員の給与が民間より３割から５割高い、と総務省から発表がありましたので、もっと格差があると思われる。)、上場企業から零細家内工業までのすべての民間企業から平均値を求めて公務員の給与も民間企業並に減らして、減らした分プレカリアートにまわさせるべきでしょう。⇒
2009/3/1(日) 午前 10:37
⇒公務員の平均年収は628万円（＋給与とも言える住宅等）でサラリーマンの436万円とするならば、【大雑把】な単純計算で192万円（＋給与とも言える住宅等）格差があります。公務員の数を400万人とすると、年収３５０万円の人が２２８万人雇えることになります。（年収４００万円の人なら２００万人雇える）
それと同時に国や自治体が独立行政法人・特殊法人・公益法人等に出している税金をとめさせる。
そして、必要な団体の仕事は、プレカリアートを雇い入れ、すべて国や自治体が行う。
内部留保している埋蔵金と言われるお金や資産等に関しては、すべて国や自治体に戻させる。
そうすれば、天下り・ワタリ団体は潰れ、ある程度改善されることでしょう。
天下り・ワタリをした役人等が６５歳まで再び雇って欲しい場合は、退職金なしの嘱託職員として新人公務員の２割減の額で雇ってあげる。（退職して多額の退職金を貰っているのですからこれくらいでいいでしょう。）
公務員貴族等ために税金を貢がされてきたのですから、それだけでいいでしょう。⇒
2009/3/1(日) 午前 10:38
⇒そして、国と取引のあった企業への天下り・ワタリは向こう二十年間は禁止させる。
これしかないでしょう。
外国人労働者の規制を行い、年収３５０万円の人を２２８万人（年収４００万円の人なら２００万人）雇えるば、労働者側の｢売り手市場｣となるでしょう。
つまり、GDP2％での労働者側の｢売り手市場｣を1％台の水準で実現させるという事です。
企業側の内部留保も労働者に分配できるように、内部留保をしなくていい法律に変えれば、官民の労働者も潤うという事になります。
城繁幸君の様なペテン師にひっかかるのは、草の根保守(市民ウヨ)かもしれませんが、公務員貴族にメスを入れない(経済を含む政治に)ノンポリの左派勢力(平和ボケサヨ)も問題でしょう。
2009/3/1(日) 午前 10:38