一平のペンとギター
僕らしい小説を書き、僕らしい歌をうたう、ぞ♪、ペンとギターの一平です。ギター弾き語りと小説書きの二刀流。
一年を振り返って「人」
Weblog / 2007-01-25 00:00:56

 

 ○ 直木賞作家、三好京三さん。

 3年前、2004年、「北上夜曲歌唱コンクール全国大会」の審査委員長は、三好京三さんでした。北上夜曲の作曲者である安藤睦夫さんが、ずっと、委員長を務められていましたが、近年、身体をこわされ、三好さんが、その任を務めておられたのでした。三好さんと安藤さんの友情については、僕の去年のブログに書きましたので、ここでは、触れません。

 昨年は、三好さんは、委員長ではなく、1審査員でした。委員長は、松田晃という、岩手県合唱連盟名誉会長、をされている方。一昨年は、僕は、応募をし、エントリーナンバーを頂いていたのでしたが、事情があって、出場を、コンクール間近になって、取りやめました。主催者と三好さんにお詫びの手紙を書いたのでした。

 3年前、審査委員長が、三好京三さんであることを、会場で、当日、知りました。びっくり仰天しました。

 「子育てごっこ」で直木賞を受賞された作家です。僕が、教師をしていた頃、参加した「奈川私学教育研究集会」の壇上で講演されておられた姿をはっきり覚えていました。もう20年以上前のことです。会場は、神奈川学園という女学校でした。研究集会の最初に、講演があります。体育館で。次に、分科会、があります。教室で。僕は、英語分科会、ゃら、学級運営HR分科会、などに出ていたものです。僕が、勤めていた学校が、会場になったことも何度か、ありました。僕は、かなり、積極的に、参加していましたし、自分の学校が会場になったときは、率先して、責任者になりました。

 体育館の壇上で講演していた、直木賞作家、三好京三さんを、1000人余りの教職員や父母の聴衆者に混じって、僕は、憧れを抱いて、眺めていました。元小学校の先生で、今、直木賞作家・・・。話の内容は、全く覚えていないのですが、高い壇上の、元先生直木賞受賞の、三好京三、という作家を、憧れの眼差しで、見ていました。僕も、教師を辞めて、作家になりたいけれど、、、と思いながら、、、。

 コンクール会場のさくらホールに着いて、プログラムをもらい、ページを開いてみると、審査委員長の名前のところに、三好京三、とあったのです、から、僕は、びっくり仰天しました。歌なんか、どうでもよくなり、何とかして三好京三さんと、お話がしたい、と、その事ばかり考えていました。

 幸い、思いがけず、「そよ風賞」を受賞することになりました。出場者、審査員、主催者、ゲストの懇親会が、夜7時からありました。出場前に、会場の外で、練習していたら、岩手放送の女性記者が、僕にインタビューをしました。(1ヶ月後、テレビ岩手で放送された、ビデオを主催者が送ってくださり、見たら、僕のインタビューが、そのまま出ていました。僕が、舞台で弾き語りしている場面も。いやー、テレビに出るなんて・・・!)その記者らしき女性が、懇親会に出ませんか、とさそってくれました。妻は、疲れたので、先にホテルに帰るから、あなたは出たら、、と帰りました。立食バイキング形式の懇親会。三好京三さんの挨拶で始まりました。ゲストは庄野真代さん。僕とテーブルが一緒でした。飛んでイースタンブール♪を歌った人ぐらいしか知らない。けれど、お話をしました。何をしゃべったか、記憶がない。僕は、三好京三さんのところへ行って話しかける機会、をうかがっていました。が、庄野さんとの話に気を取られている間に、三好さんが、スーッと、出口から出て行かれました。あれ?僕は、主催者の方に、三好京三さんは、トイレでしょうか、と聞いたら、お帰りになりました。と。僕は、玄関まで走り、三好京三さんを探しましたが、遅かったのでした。ギターを抱え、ホテルに帰ったのは10時近くでした。懇親会が終わったとき、僕は、主催者の方に、三好京三さんの電話番号をお聞きしました。お会いしたいので、、と。教えてくださいました。

 翌朝、ホテルで、チェックアウトをする前に、部屋から、電話をしました。三好京三さんと、お会いしたい。出来れば、10分でも20分でも、お話できたらなあ、、、と思って。

「もしもし、僕は、昨日、北上夜曲歌唱コンクールに出場したものです。あのー、ギターで歌った山中と申しますが」

「あー、君かー。」

「お会いしたのですが、いいでしょうか」

「それなら、12時3分の電車に乗って、前沢駅で降りなさい。駅で私が待っているから」

「は!ありがとうございます」

 という訳で、20−30分どころか、その日、夜の10時近くまで、なんと、延々9時間、三好京三さんのお宅で、妻と二人で、奥さんの手料理をご馳走になり、お互いを紹介し、人生の、文学の、歌の、話に花が咲きました。ギターで弾き語りをしました。

 三好さんは、弾き「歌い」、と何故言わん、のかね。と言われました。そういえば、そうだ。弾き語り、じゃなく、弾き歌い、だ。明るいうちには、車に僕と妻を乗せて、「子育てごっこ」の舞台となった分校を案内してくださり、執筆される部屋、も見せてくださいました。加藤剛と栗原小巻が、ここで、、、、、などと、撮影の様子まで解説してくださる。

 お宅に戻って、庭の、大きな石を指して、これはね、私が直木賞もらった頃、水上勉が、うちに遊びに来て、これをくれたんだよ。僕が、ボーっとしていたら、水上氏が、君は、何故、メモをとらんのかね、と、言われたものだよ。明日、水上勉の告別式があるので、僕も、明日、東京へ行くんだ、と三好さんが言いました。

 客間に通され、ソファーに腰掛け、僕も、教師を辞めて、今、小説を書いています。作家になりたいのです、僕が三好先生に話しているのを聞いておられた奥さんが、「なにがなんでも作家になる」という本を、持ってきて、これ差し上げましょう、と、僕にくださった。(帰りの新幹線で読み始め、家に着いて、その日のうちに読み終えた。三好さんが、小説家を志して、直木賞を取るまでの足跡が書かれていた。勇気が湧いた。なにがなんでも作家になりたかった三好京三の、悪戦苦闘の足跡だった)。また、北上夜曲をギターで弾き歌って、、、と言われ、歌ったら、薄い冊子をくださった。「小説-北上夜曲」だった。直木賞をもらったすぐ後に書かれた、と。(北上夜曲が生まれる経緯が描かれていた-17才の菊池規が、書いた詩。それに18才の安藤睦夫が曲をつける。その若い青年の友情、、、。と、安藤睦夫と三好京三の出会い・・。)

 その夜、泊まってゆきなさい、と進められた。妻が、いや、どこか宿を探します、と言ったら、三好さんが、ある宿へ連れて行ってくださった。教え子がやっている宿でした。

 一介の、コンクール出場者、何処の馬の骨かわからない、僕達を、旧知の人のごとくもてなしてくださり、浦島太郎になったような気分でした。10年分のお正月が、一度に来たような、気分でした。

 が、昨年は、僕は、《優勝して、三好さんから表彰状を受け取る夢》を見て、舞台に立ちました。が、全くの敗戦。無惨な結果でした。もう帰ろう、途思いましたが、三次先生に会って、帰ろう、と、落ち込んだ心に鞭打って、客席の末席から、決勝大会、最終審査結果発表を見た。長ーい長ーい、時間でした。やっと、終わり、懇親会場前で、僕は、三好さんに挨拶をしよう、と思って待っていました。明日にでも、お会いしたいと、一言、言いたくて。

 ところが、何故か、三好さんは、懇親会場には来ず、玄関のほうへ向かって歩いてゆかれました。僕は、三好さんを追っかけました。

「三好先生、僕、です」

三好さんは、チラリと僕を見て、誰だ、と言うような顔をなさった。てっきり、「あー、君かー」と言う返答を予想していた僕は面食らってしまいました。

「明日、お会いしたいのですが・・」

「明日は、ちょっと用事があるので。じゃ。」

 と言って、玄関をスタスタ早足で出て行かれました。取り付く暇がない。まるで、全く見知らぬ人に声をかけられた時のような先生の応対でした。僕は、びっくり仰天、してしまいました。三好さんは、僕を、全く忘れてしまわれたのか・・。それとも、朝の10時から、夕方の6時までの審査員の激務に、くたくたにお疲れだったのだろうか。

 そういえば、昨年、懇親会の乾杯が終わって、すぐ帰られたのは、くたくたに疲れ、ビールが飲みたかったんだよ、車じゃ、飲めないからね。この齢で、一日中審査は、きついからね。と言われたのを思い出しました。

 

 それにしても、どの賞にも入らず、三好さんには振られ、谷底にまっさかさまに、落っことされた気分で、ホテルに、帰りました。道々、何で、ギターが、こんなに重いんだ!と呟いて。

 昨年は、北上で一番会いたかった人、に会えませんでした。「そよ風が吹いた」という小説を2年前から書いて、一時、休止しています。それが、出来たら、三好先生に会いに行こうかな。会ってくださるかな。

 さくらホールの玄関先での先生は、くたくたで、ビールが飲みたくて飲みたくて、ただただ、その一念だけだったのでしょう。きっと。

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コメント
 
 
 
少女の性的虐待 (エロ親父)
2007-01-24 22:55:26
三好京三って、自分の養女に性的虐待をしていたことを暴かれて、随分昔に文壇から追放されたエロ親父ですよ! 
あんな男を尊敬するのは止めなさい。
倒錯趣味があるのかと思われます。
 
 
 
少女の性的虐待 (エロ親父)
2007-01-24 22:59:21
三好京三って、自分の養女に性的虐待をしていたことを暴かれて、随分昔に文壇から追放されたエロ親父ですよ! 
あんな男を尊敬するのは止めなさい。
倒錯趣味があるのかと思われます。
 
 
 
その、養女さんについて。 (山中一平)
2007-01-25 00:34:39
 その養女、さんは、ドイツでしたか、イギリスでしたか、の大学の先生をしている青年と結婚され、今、子供も、もうだいぶ大きくなられている、ようですよ。向こうに住んでおられます。お宅に伺った折に、結婚式の、お写真を見せてくださいました。三好さんも奥さんと、時々、行かれるそうです。
 匿名で、他人のことを、非難する人、の言辞は、むなしいものだと、僕は思います。
 
 
 
昭和の大事件 (エロ親父)
2007-01-25 21:36:41
あんなに有名な事件なのに、忘れちゃったのかい?
三好京三は、何と言って言い訳したのか知らないが、
その後表舞台には出てこなくなったんだ。
 
 
 
昭和の大事件 (エロ親父)
2007-01-25 21:37:11
あんなに有名な事件なのに、忘れちゃったのかい?
三好京三は、何と言って言い訳したのか知らないが、
その後表舞台には出てこなくなったんだ。
 
 
 
子育てごっこ (gaikokujin)
2008-06-24 00:49:31
私はアメリカに住んでいるアメリカじんです。子育てごっこのビデオかDVDを探しております。ビデオかDVDを持っていますか?
 
 
 
残念ながら・・・。 (一平)
2008-07-01 22:20:57
gaikokujin さんへ
 残念ながら、ぼくは、ビデオもDVDも持っていません。僕も、見たい、です。小説は、図書館に、あります。また、ビデオか、DVDが見つかったら、お知らせします。 一平
 
 
 
ありがとう (gaikokujin)
2008-07-08 22:58:49
本当にありがとうございました。
 
 
 
三好京三 虐待 の検索から来ました (・・・)
2009-02-26 14:33:29
はじめまして
ご存知無いのなら仕方ないと思いますが、三好京三の養女の方は、性的虐待について告発本も出されています。
検索で出ます。
今ご結婚されているというのは、知りませんでしたが、昔大々的にマスコミにも取り上げられ、養女の人ご自身が、ワイドショーのインタビューに泣きながら答えていたのもテレビで見ました。

自分の親も教師で、性的では無いけれど虐待はあり、相談機関にもまともに取り合ってもらえず、
今も親から逃げ続けているような状態なので、こういう話は身につまされます。
虐待に関するページを見ると、性的虐待も色々なケースがあり、社会的にはマトモな人でも行っている場合もあるようです。
もっと昔なんて、性的虐待で精神に異常をきたしても、精神科では全て妄想と片付けられてきた歴史もあるようです。
そんな本も読みました。
 
 
 
モバイル版ですが三好氏のwikipedia (・・・)
2009-02-26 14:41:07
http://wpedia.mobile.goo.ne.jp/wiki/300894/%8EO%8DD%8B%9E%8EO/1/
千尋が三好から性的虐待を受けていたと主張したため、更なるスキャンダルとなった。1986年には、千尋が三好を批判する内容の手記を刊行(広瀬千尋『過去へのレクイエム』オーク出版サービス)。同じ1986年には千尋と親しい花柳幻舟が『オッサン何するねん!─文化人エンマ帖』(データハウス)と題する書物を刊行し、118ページにわたって三好を糾弾した。

今は和解されたとも言ったらしいですが、事実無根であったとは言ってないですね
 
 
 
広瀬千尋で検索すると (・・・)
2009-02-26 15:05:57
グラビアが出るので、同姓同名の人かと思いましたが、養女の人らしいです。
この方のその後の活動のせいか、事の真偽はわからないとも
虐待のせいでそうなったのではとも言われた事も付け加えておきます。

真偽はわかりませんが、三好氏は無邪気に崇拝だけしていい人とも思えません。
この事実を告げたコメントは、匿名で批判するだけの卑劣な人コメントとも言えないのではないでしょうか?

こういう所で匿名でなく書くなんて、実名を出したとしても有名な人でない限り誰も知らないのだし
出身校など個人状態でも付け加えない限り無理だと思います。

自分の場合はさらに特殊な事情があるので、もっと無理です。

だから、匿名で批判するから卑劣であるとは言えないと思います。
匿名でも匿名でなくても、自分の鬱屈した感情の捌け口としての誹謗中傷は卑劣な行為だと思います。
 
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