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【コラム】「死ぬ覚悟」韓日の違い(下)

 まずは官庁が、まずは公務員が苦痛を味わおうとする姿勢だ。区長会合で補助金の削減を宣言し涙を浮かべ、全ての予算をカットしつつも障害者、治安、貧困層に対する予算は減らさないと言葉をつないだ。生中継するテレビカメラの前で、「このままでは本当に死んでしまうのではないか」という強い印象を残した、とメディア関係者は評した。

 これに対し、韓国の公務員は月給の数%を返納するキャンペーンを展開するという。「強制ではない」として、俸給削減ではないことを明確にし、いつまでに行うかもはっきりしない状況だ。順序も大阪府とは反対だ。政府系企業や大企業に「初任給を削減しろ」「インターンの採用を増やせ」と要求し、確約を取り付けた上で、中央官庁が給料の返納ショーを始めたのだ。

 使える非常資金を全て投入しているかも疑問だ。例えば、不動産、株式などの国有財産は276兆ウォン(約17兆9000億円)相当に上る。このうち10%を売却しても、容易に30兆ウォン(約1兆9000億円)を確保することができる。堂々と大型の追加補正予算を編成できる額だ。

 それでも閣僚、政治家はともすると赤字国債を発行すると言い、韓国銀行に印刷機を回せと圧力をかける。国民に税金としてツケを回す一方で、非常金庫を開けて庶民の負担を軽減しようとするアイデアを出すことは決してしない。

 担当公務員は「あまりに急な事情でも、価格が底値にあるのに損失覚悟で国家財産を売ってもよいのか」と反論するはずだ。一歩間違えば、不当な安値で売却したと非難にさらされることを恐れてのことだろうが、かといって後日価値が上がっても容易に売却するわけではない。国営ゴルフ場は退職公務員の受け皿用だからか、政権が変わるたびに売却論が浮上しては消えた。

 ある郡守(郡の首長)が失業者にインスタントラーメンを支給するため、事務室を粗末な場所に引っ越したという感動ドラマまでは期待しない。現在、米軍移転後に造成される竜山市民公園のすぐ横にある一等地に、竜山区の巨大な総合行政タウンが建設されている。また、1000億ウォン(約64億円)以上を投入し、地下5階、地上10階建てのガラス張りのビルの建設も進められている。

 今月には数十万枚の大学卒業証書が瞬く間にニート資格証に変わった。にもかかわらず、昨年も今年も相当数の公務員は定年が3年延長されたと余裕の表情を見せている。公共部門では「死ぬ覚悟」と言いつつも、余裕いっぱいのパーティーが至る所で開かれているのが実状だ。

宋煕永(ソン・ヒヨン)論説室長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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