Print this Post Article Lists Back

【コラム】「死ぬ覚悟」韓日の違い(上)

 李明博(イ・ミョンバク)大統領は就任1周年に際し、国務会議(閣議)で「生き残ろうとすれば死に、死ぬ覚悟で戦えば生き残る(生則死、死則生)」と語った。壬辰倭乱(文禄・慶長の役)で水軍を率い、日本を撃退した李舜臣(イ・スンシン)将軍が残した言葉だ。

 悲壮感に満ちた発言に見えるが、李大統領より1カ月前に就任した橋下徹・大阪府知事は、「大阪は破産状態だ。僕と一緒に死ぬ覚悟で頑張ってほしい。死んでください」と語った。李大統領の発言はそれに比べれば、まだ余裕があるように聞こえる。

 橋下知事は弁護士でありながら、テレビ番組での発言で話題を集めた芸能人出身の駆け出し政治家だ。「死ぬ覚悟で」というお決まりの公約を拒否し、改革に失敗したときには、皆で死のうと就任当時から公務員に圧力をかけてきた。橋下知事が狭い逃げ道すら残さずに徹底して臨んだ結果、大阪府は4月からの新年度予算が11年ぶりに黒字予算になった。

 橋下知事の改革を39歳という未熟さからくる無邪気なものにすぎないと見つめていた視線は徐々に薄れ、芸能人の政治ショーとして彼を追っていたカメラのアングルも変わった。

 しかし、財政再建に挑戦する大阪府知事の「死ぬ覚悟」と国家経済に向き合う韓国大統領の「死ぬ覚悟」の間は、かみ砕いて考えるほど距離が遠い印象だ。一方は失敗すれば政治的割腹自殺の道を選ぶと決心したのに対し、一方は政治的生存のために死という修飾語を掲げたようだ。

 このようにあえて比較するのには理由がある。韓国政府と韓国の公務員は果たして大統領とともに死ぬ覚悟で経済危機と闘っているだろうか。

 昨年には約19万人の雇用機会が失われた。今年はさらに倍の働き口が減る見通しだ。毎日1100人以上の失業者が生まれる計算になる。

 大阪府の場合、そこまで厳しい状況ではなかったにもかかわらず、橋下知事は公務員の基本給を最大16%カットした。官庁の建物も数カ所売却した。地価が高い中心部にある府庁舎を海岸部の未開発地に移転する計画も打ち出した。

宋煕永(ソン・ヒヨン)論説室長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る