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東京大空襲:戦火に消えた父よ 韓国から2遺族来日、足跡たどり遺骨捜す

 1945年3月の東京大空襲で命を落としたとされる朝鮮人の遺族2組が、韓国から日本を訪れた。28日午後には、東京都慰霊堂(墨田区)で開かれる朝鮮人犠牲者の追悼会に参加し、戦火に消えた肉親の足跡をたどる。

 2組の遺族は、黄秉煥(ファンビョンファン)さん(70)と金琴蘭(キムクムラン)さん(70)。黄さんの父洙達(スダル)さんは空襲当時24歳、金さんの父鳳石(ボンソク)さんは同32歳だった。2人は東京・芝浦にあった旧日本海軍部隊の軍属として徴用され、深川の宿舎で空襲に遭い死亡したとみられる。

 64年前とあって、黄さんは父の記憶がほとんどなく、1枚だけ残っていた写真も紛失してしまった。一方、金さんによると、鳳石さんは「すぐ帰ってくる。ランドセルを買ってきてあげる」と朝鮮半島南部の自宅を出て、そのまま日本に連れていかれ、帰ってこなかったという。

 2人が東京大空襲の被害に遭ったことは、日本の民間団体の調査で判明。今回の来日は、追悼会を主催する「東京大空襲朝鮮人犠牲者を追悼する会」の招待で実現した。都慰霊堂には東京大空襲での犠牲者の遺骨約10万5000柱が納められており、個人が特定されているのは約3700柱。

 同会によると、朝鮮人とみられる遺骨は約50柱あるという。朝鮮人犠牲者の追悼会は07年から開かれており、今年が3回目。

 2人のうち洙達さんの遺骨は現在も見つかっていない。黄さんは「何とか捜し出したい」と話す。金さんは「60年間、父のことは思い出さないよう努めてきたが、亡くなった地に来て思わず涙が出てしまった」と話した。

 2人は、来日した27日、父親が亡くなったとみられる江東区内の資料センターなどを見学した。

毎日新聞 2009年2月28日 東京夕刊

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