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「病腎移植 十分可能性がある」 大島伸一総長

2007/08/04 12:33

 


「病腎移植 十分可能性がある」

・・・・・今後、病気の腎臓を移植に使うこと自体には条件付きながら  大島伸一総長

日本医学会主催のシンポジウム「わが国の臓器移植 現状と問題点」が8月2日(木)、東京都内であり、万波誠医師等による病気腎移植問題について、国立長寿医療センターの大島伸一総長(日本移植学会副理事長)は、「標準的な医療水準から外れている」と指摘した上で、今後、病気の腎臓を移植に使うこと自体には条件付きながら「十分可能性がある」と言及されたそうです。

愛媛新聞記事について述べたいと思います。





愛媛新聞19年8月3日(金)付け
 

医療の標準を逸脱 学会副理事長 万波氏の手法批判

http://www.ehime-np.co.jp/rensai/zokibaibai/ren101200708031085.html
 日本医学会主催のシンポジウム「わが国の臓器移植 現状と問題点」が二日、東京都内であり、宇和島徳洲会病院の万波誠医師らによる病気腎移植問題が取り上げられた。国立長寿医療センターの大島伸一総長は「標準的な医療水準から外れている」と指摘した上で、今後、病気の腎臓を移植に使うこと自体には条件付きながら「十分可能性がある」と述べた。 

 日本移植学会副理事長も務める大島総長は、万波医師らが実施していた病気腎移植は「標準から外れた移植医療」「適切な手続きが欠如」とする同学会の見解を説明。 

 新しい医療の開発で考慮すべき要素としてリスク、人権侵害などを挙げ「きちんとした臨床計画、手続きで進めなければならず、社会も厳密さを求めている。その点で大きな問題があった」とするなど、万波医師らの手法を批判した。 

 一方で、病気腎移植自体には「仮説と医学的根拠を立てて研究計画を作り、手続きを経て進めていけば、十分可能性がある」と言及した。 

 父親の肝硬変治療のため肝臓の一部を提供した河野太郎衆院議員(自民)も出席。同問題に関して「医療界がどう判断するのか」と投げ掛け、行政に任せるのではなく、医師の集団が自らルールを作っていくべきだと主張した。






>万波医師らが実施していた病気腎移植は「標準から外れた移植医療」「適切な手続きが欠如」とする同学会の見解を説明。

「標準から外れた治療」とは確かに病腎移植が、日本では公になっていなかった訳ですから、学会としては現時点ではそう考えられるのでしょう。
しかし、考えようによっては、他の病気に対する医療を含め、新しい治療の試みは絶えず行われています。
新聞でもよく取り上げられます。
先駆者に対してそれを否定的見方で批判するのか、あるいは画期的な試みと賞賛するのか、医療専門家の間ではいろいろと議論の分かれるところでしょう。

しかしながら今回、豪州では公認で病腎移植が実施されていることが分かった以上、宇和島での病腎移植が決して外れているとは言えないと考えます。石塚記者の「豪州では救える命」が日本では非常識で片づけられてしまっては説明がつきませんし理不尽なことですよね。

「適切な手続きが欠如」ついては、これまで、何度も指摘がされていますのでこれ以上多くは触れませんが、本人確認や同意書作成等定められた手続きに基づき、今後は実施されるべきことなのでしょう。そのことまで反対するつもりはございません。過去は過去として、今後は改善すべき点は改善しなければならないのはそのとおりであります。

ただ、しつこいようですが、今後のルール改善とは別問題として、過去の万波医師等の行った病腎移植に対して、ドナーとなった方や病腎移植を受けた患者本人からの非難はなかったと言うことは忘れてもらっては困ります。
(正確には元患者のご両親からの非難は一人ございました)学会や一部報道の非難に行き過ぎがあったのではないか・恣意的な報道はなかったのかという点の指摘は、万波医師の名誉のためにもさせていただきます。


私は、今までの万波医師等の手続きに大きな誤りはないと重ねて申しておきたいと思います。

学会や報道の非難と、私ども患者側の感じ方・考え方の溝は、残念ながらこれ以上埋まりようがありません。

前にも書いたとおり繰り返しになりますが、腎臓移植は慢性腎不全患者が行うのです。移植までには、通院、検査、投薬、通院、検査、入院、検査、治療等、そしてとうとう透析と、何年も何百回も医師との検診・話し合いがされているのです。交通事故のように一夜にして初めての患者を手術するのと違います。

腎臓移植患者は、医師との長い年月の関わりの中で十分な信頼関係が醸成されています。
腎不全は投薬や食事療法の甲斐なくクレアチニン値が除々に高くなりやむなく透析という道をたどりますが、健常者の方はその長い間の医師との関わり・感覚をなかなかご理解いただけないのだと思います。

従って万波医師等が行った病腎移植のドナーやレシピエントの人権が大切にされていなかったのではというご心配は決してないのであります。口頭での説明と同意で足りるだけの信頼関係が十分過ぎるほどある(あった)のです。

>リスク、人権侵害などを挙げ「きちんとした臨床計画、手続きで進めなければならず、社会も厳密さを求めている。その点で大きな問題があった」とするなど、万波医師らの手法を批判した。 
との報道ですが、

文書による同意書がなかったのは学会の定めた手続どうりにしていなかったという批判される点でありますが、実質的には医師と患者間は何の問題も生じていなかったということを重ねてご承知・ご理解願いたいと思います。
一部報道の書いたバターナリズムがどうしたというのでしょう。父権主義がどうのこうのと、私らにはどうでもいいことですよ。医師に騙されるほど盲目になることはあり得ませんのでいらぬお節介だと申しておきます。


>一方で、病気腎移植自体には「仮説と医学的根拠を立てて研究計画を作り、手続きを経て進めていけば、十分可能性がある」と言及した。


これまで、「聞いたことがない」「禁忌中の禁忌」と発言されてきた大島副理事長も、今度は「十分可能性はある」と言及されたそうです。どこまで深い真意があるのかはよく分かりませんが、注目すべき発言ではあります。
そう考えていただけるのであれば、今後は過去のことよりもむしろ今後の実施・システム作りに目を向けていただきたいのです。

今後病腎移植に対し前向きに学会、厚生労働省が再考いただけるのであれば、豪州等の例を参考に、ドナーやレシピエントの選定、説明・同意の方法、手術する医師・病院等のシステム作りを行っていただければよいことだと思います。

決して日本で出来ないはずはないと思います。現に豪州では行われているのですから。やる気があるかどうかが問われて行くことになるのではないでしょうか。

しかし、
研究計画を作り、手続きを経て進めていけば・・

が今後5年10年もかかるのではあまりにも遅すぎます。
研究のための研究であってはなりません。真に患者を救うための研究を速やかに進めていただきたいものです。

腎不全や透析による合併症で毎年多くの方が亡くなっていることや移植数が外国に比べ著しく少ない現実がわかっているのですから、病腎移植を含めて早急な対策を行っていただきたいと重ねてお願いしたいと思います。


以上


カテゴリ: 事件です    フォルダ: 日本医学会シンポジウム

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コメント(2)

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2007/08/08 11:58

Commented by ハモニコ さん

万波医師と患者との命をかけた信頼関係は、行政のだれより、学会のだれより深く、命と真摯に向き合っていると信じます。
この願いは、患者にとって贅沢な願いでしょうか?(少なくとも、近年反省され報道される、数ある税金の無駄使いの贅沢さと比べて・・質が違い過ぎますが)
一刻も早く、透析患者の健康を回復し、夢のもてる生き方が出来る方法を、広く検討して頂きたく思います。医療費にかかる税金の負担も軽減されることは更に理にかなうことと思います。

 
 

2007/08/08 22:46

Commented by hiroyuki さん

ハモニコ
ご訪問ありがとうございます。
宇和島の牛鬼の写真、迫力満点ですね。松山で、いや大阪や、東京の歩行者天国を練り歩くときっとすばらしいと思いました。

>一刻も早く、透析患者の健康を回復し、夢のもてる生き方が出来る方法を、広く検討して頂きたく思います。医療費にかかる税金の負担も軽減されることは更に理にかなうことと思います。

そのとおりと思います。でも、日本の行政は何故なのか動きが遅いですね。原爆症の認定にしても、60数年立ってもまだ国と裁判している。やっと認定を広げるとの話しを安倍総理がしました。
エイズの時もハンセン病の時も何年もたってからやっと重い腰をあげました。
それも厚生行政はトップが決断をしないとなぜか動かないようですね。
不思議なことの一つです。

 
 
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2007/08/08 11:21

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